「暗喩」の意味や読み方って?
『暗喩』とは、どのような意味なのでしょうか?読み方についても紹介します。
暗喩の読み方
『暗喩』は『あんゆ』と読みます。
暗喩の意味は「物事を違う言葉で言い切ること」
暗喩は物事を違う言葉で言い切る比喩表現の一種です。『ひそかに・暗に』という意味の『暗』と『例える』という意味の『喩』の二つが組み合わさり、『ひそかに例える』という意味合いがあります。
具体的には『~みたいな』『~のような』という表現を使わずに、物事を例える表現方法です。例えば、「彼女はヒマワリのような人だ」とするのではなく、「彼女はヒマワリだ」と言い切るのが暗喩です。
「暗喩」の例文を紹介
暗喩の理解をより深めるために、分かりやすい例文を紹介します。実際に自分でも使いこなし、表現の幅を広げるのに役立てましょう。
ガラスの心を持つ
ささいなことでも傷ついてしまう繊細な心という意味です。ガラスはちょっとしたことでも割れてしまうことから、『もろさ』を例えています。
また、割れてしまうと修復が難しいことから、一度傷ついてしまうと気持ちを切り替えて立ちなおるのが難しいというニュアンスも込められているのです。
もろさを表現する言葉には、『陶器』や『ガラス細工』もあります。豆腐が柔らかく崩れやすいことから精神的に弱いという意味合いで、『豆腐のメンタル』という表現もあります。
あの人は歩く辞書だ
物知りで、分からないことを聞くといつも的確な答えを返してくれる人という意味です。辞書は知らない言葉を調べるときに使うもので、多くの情報が載っています。そのため、情報が豊富で博識があることを辞書に例えているのです。
また、『歩く』と入れることで、暗に『人間』を表しています。地理に詳しく土地勘がある人を『歩く地図』と表現することもあります。
「暗喩」の類語との違い
暗喩の類語を見ていきましょう。それぞれの違いについても、分かりやすい例文とともに紹介します。
暗喩と同じ意味を持つ「隠喩」
『隠喩(いんゆ)』も比喩を使用せず、物事を違う言葉で言い切る表現です。『暗喩』と大きな違いはなく、同じ意味で用いられています。両方ともよく知られているので、どちらの言葉を使用した方がよいということもないようです。
また、『メタファー』も同じ意味で使われています。英語の『metaphor』のことですが、今では日本語として広く浸透しています。
暗喩の対義語である「直喩・明喩」
暗喩の対義語は、『直喩(ちょくゆ)』と『明喩(めいゆ)』です。どちらの言葉も同じ意味で使われており、『~のような』『~ごとし』『~みたいな』『あたかも』などを用いて、直接比喩する表現方法です。
ストレートな表現のため、読み手や聞き手に何を指しているのか分かりやすく、はっきりとしているという特徴があります。
- 彼の怒りに満ちた表情は、まるで鬼のようだ
- 彼女は犬のように人懐っこい性格をしている
- 子どもの太陽みたいな笑顔に癒される
からかう「揶揄」
『揶揄』は『やゆ』と読み、『からかう』『あざける』という意味です。『非難する』『軽蔑する』というネガティブなニュアンスで使用されることも少なくありません。
『揶揄する』は、皮肉や冗談を言って相手を困惑させたり不愉快にさせたりして楽しむことです。
- 知り合いに母親のことを揶揄されて、怒りを覚えた
- 飲み会では、職場の人を揶揄して盛り上がることもある
- 上司に作成した企画書が幼稚だと揶揄された
関連する別のもので表す「換喩」
『換喩(かんゆ)』も類語の一種で、関連する別のもので表すのが特徴です。関係性の高いものに言い換える表現で、普段気付かずに使用していることも多いでしょう。
例えば、普段何気なく使っている「テレビを消して」という言葉も換喩です。テレビそのものを消すことではなく、『テレビの電源をオフにする』ことを指しています。
- 車がパンクした(車=車のタイヤ)
- 犯人をパトカーが追っていた(パトカー=パトカーに乗った警官)
大きな表現をする「提喩」
『提喩(ていゆ)』も類語の一種で、無意識に使用していることが多い表現です。部分的なことを大きなもので表現する比喩です。
例えば、桜を見に行くことを『花見に行く』というように、花という大きなカテゴリーで表現しています。逆に全体を部分的なもので表すこともあります。
- 歩き疲れたので、カフェでお茶しよう(お茶=飲み物)
- 同僚とごはんを食べに行った(ごはん=食事)
まとめ
『暗喩』は、物事を違う言葉で言い切る比喩表現の一種で、『隠喩』とも呼ばれています。『直喩』のように『~みたいな』『~のような』などを使わずに、物事を例える表現です。
類語には『揶揄』『換喩』『提喩』などがあり、日本語の奥深さに驚かされます。それぞれ使われ方が異なるため、きちんと把握して使い分けましょう。