「というていで」の漢字表記と意味
『というていで』は漢字では、2通りの書き方ができます。ひらがなで表現することが多いですが、必要に応じて対応できるように、それぞれの意味を見ていきましょう。
見た目を意味する「体」
というていでは『という体で』と書くことができ、ある状態・様子を表現する意味と、何かを取り繕う・見せかけるという意味の2種類で使われます。
『体』は訓読みでは『からだ』、音読みでは『たい』『てい』と読み、ていと読む場合、外から見たときの『見た目に対する様子』という意味です。
「何もないという体でいるが、本当は動揺している」と言えば、何か起きたとは思えない様子でいるものの、内心は違うという意味になります。
「これまでと同じく、病気のことは知らないという体で接してください」と言われた場合、知らないというように見せかける、あるいは、知らない振りで接してほしいという意味に受け取れるのです。
状況や動きを意味する「態」
『という態で』と書いて、というていでと読ませることもできます。言葉の意味は『という体で』と同じです。外から見た様子という意味で使われるほかにも、状況・動き・振る舞いなどを意味する漢字としても使われます。
体の漢字の語源に見せかけやハリボテという意味があり、見せかけの肉体を『からだ』と呼んだという説があり、どちらかというと『体』の方を使うことが一般的です。
どちらかが間違っているというわけではなく、明確な使い分けがされるわけでもありませんが、画数が少ない方が使いやすいと感じる人は多いかもしれません。
「てい」の類語も紹介
『というていで』の『てい』と近い意味を持つ言葉は多く、さまざまな言い換え表現ができます。相手により分かりやすく、言いたいことを伝えるために、類語表現について学びましょう。
「態度」
態度は物事に対するときの考えが、表面上に現れたものという意味です。素振り・心構えなどの言葉に言い換えてもよいでしょう。
『行動』とよく似ていますが、態度は心の動きが意識しなくても表面上に出てきてしまうことで、その人の考えが表情・言葉・動作などに、周囲から分かる形として現れることを指します。
『態度に出さないでいること』と『知らないというていでいること』は、微妙なニュアンスの違いはあれど、かなり近い意味で使える言葉であることが分かるでしょう。
▼使い方の例
・びっくりするとは思いますが、落ち着いた態度でいてください
「ふり」
『ふり』は人の仕草や、振る舞い方のことです。動作に現れた人の様子、と言い換えてもよいでしょう。寝たふりをする・知らないふりをする・なりふり構わないなど、さまざまな使い方がされます。
『寝たふり』を『寝ているていで』と言い換えても、同じ意味です。実際には眠っていないのに、眠っているかのように見せかけるということになります。
▼使い方の例
・事情を聞いているかもしれないが、知らないふりをしてほしい
「様子」
外から見たときに分かる、物事の状態を『様子』といいます。ありさま・態度・素振りなどに言い換えても、意味が通じるでしょう。
外見から分かることだけでなく、そこから受ける印象も含まれます。『というていで』を『という様子で』と言い換えても、ほぼ同じ意味に受け取ってもらえるはずです。
▼使い方の例
・本当はつらいのに無理をして、元気な様子を見せた
「てい」の具体的な使い方
言葉の意味が分かっても、どんなシーンで『というていで』を使えばよいのか、よく分からない人もいでしょう。使い方の参考にしたい、具体的な例を紹介します。
実際と異なる振る舞いをする
社会生活で『〇〇というていで、いてくれませんか』とお願いされることは、よくあることです。実際とは違うことを、隠しておきたい状況で使用します。
例えば、社内の誰かが昇進することが分かっている場合、発表の当日まで名前を伏せておくことが一般的です。直前まで誰が選ばれるか分からない状態にしておいた方が、チームの士気を高められるでしょう。
実際とは違うにもかかわらず、そのように振る舞った方が情報を引き出したり、相手の気持ちをなだめられたりと有利に働くシーンで使われています。
ビジネスで使う場合
ビジネスシーンでは『そのようなていで』という表現が、よく使われるでしょう。
例えば、ある仕事に対する方針が明確に決まっていなかったとしても、決まっていることにしてスムーズに話を進めたいときがあります。正直に「何も決まっていません」と発表してしまえば、関係者から「このチームには、仕事を任せられないな」と思われてしまうでしょう。
具体的なことは決まっていないけれど、決まっていることにして話を合わせようとするとき、チームで事情を共有した後で、確認の意味を込めて「そのようなていでいましょう」と表現することが少なくありません。
まとめ
『というていで』は漢字では『という体で・という態で』と書けます。どちらを使っても意味に大きな違いはなく、ある状態を指したい場合、あるいは、何かを取り繕う意味で使います。
『〇〇という態度で』『〇〇という様子で』などに言い換えても、意味は同じです。類語の使い方もチェックすると、臨機応変な言い回しができます。うまく使いこなして、日常生活やビジネスシーンに生かしましょう。