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「いたしました」と「致しました」に違いはない?正しい使い方や言い換え方などを紹介
言葉の意味

「いたしました」と「致しました」に違いはない?正しい使い方や言い換え方などを紹介

2021/07/02

「いたしました」の正しい使い方や言い換えを分かりやすく解説! 「いたしました」は、自分をへりくだって表現したい場面で使い勝手のよい言葉です。しかし、やみくもに使用したり使い方を誤ったりすると、失礼な印象を与える可能性があります。そこで今回は、「いたしました」の正しい使い方を分かりやすく紹介してきます。「致しました」との違いや言い換え方も合わせて併せてチェックしてみてください。

「いたしました」の正しい使い方

いたしましたは、目上の人や取引先など、相手に敬意を示したい場面で多く使われます。

メールや履歴書などの文書内で使う場合は、会話とは異なる観点から気をつけるべきポイントも多い表現です。

「いたしました」は謙譲語

いたしましたは、目上の人に対し自分をへりくだって表現する『謙譲語』の一つです。

謙譲語は、自分や自分の動作・物などについて述べる際に使います。

自分だけでなく、自分の身内や自分が所属する社内の人も自分側と捉え、これらの人に関する動作や物などについて述べる際も謙譲語を使います。 

ビジネスシーンでは、社長や上司など社内では目上の人であっても、これらの人に関することを社外の人に対して使う表現も謙譲語です。 

元となる言葉は『した』であり、「外出いたしました」「案内いたしました」など、『~した』という意味で使われます。

敬語の種類

いたしましたを含む謙譲語は敬語の一つですが、敬語には謙譲語の他に『丁寧語』と『尊敬語』があります。 

丁寧語は、自分の動作などを丁寧に表現し、相手に敬意を示す言い方です。語尾が主に『~です』『~ます』『~ございます』となる特徴があります。 

したの謙譲語がいたしましたであるのに対し、したの丁寧語は『しました』となります。丁寧語は謙譲語に比べ、やや敬意が劣る表現といえるでしょう。 

尊敬語は、相手の動作などに対して敬意を表現する言い方です。表現の主体が自分である謙譲語や丁寧語と異なり、尊敬語は相手が主体となります。 

いたしましたという表現は尊敬語ではないため、相手を主語とした文章では使えません。いたしましたに相当する尊敬語は『なさった』です。

「いたしました」の例文

いたしましたは、ビジネスメールや履歴書などの文書内で頻繁に使われる表現です。特に使用頻度が高い言い回しの例文を紹介します。

承知いたしました

『承知いたしました』は『わかりました』の謙譲語であり、相手からの依頼・命令・希望を聞き入れる際に使います。 

以下のように、ビジネスシーンにおける上司や取引先への返信メールでよく使われる表現です。

  • 承知いたしました。明日お待ちしております。お気をつけてお越しください。
  • 時間変更について、承知いたしました。私から担当の者に伝えておきます。
  • 打ち上げの件、承知いたしました。お誘いありがとうございます。楽しみにしております。

似たような表現に『かしこまりました』があります。承知いたしましたよりもさらに丁寧な表現であり、理解したことをより強く伝えたいというニュアンスを含んでいます。

いたしましたところ~

『いたしましたところ~』は、あることをしたことがきっかけで得た情報や結果を、目上の人や取引先などへ伝える際に使われる表現です。 

『確認いたしましたところ~』という言い回しで、ビジネスメールにおいて頻繁に使われています。

  • 弊社の担当に確認いたしましたところ、明日中には完成予定とのことです。
  • 昨年度の資料を確認いたしましたところ、12月の項目に間違いなく記載されております。
  • 再度電話で確認いたしましたところ、問題はありませんでした。

『確認』以外にも、以下のような使い方が可能です。

  • ○○様にもご案内いたしましたところ、本日の会議には参加できるとのことです。
  • 先日行われたプレゼンに参加いたしましたところ、いくつかの問題点が指摘されました。

志望・希望いたしました

『志望いたしました』『希望いたしました』は、就職や転職の際、履歴書やエントリーシートなどで志望理由を書く場合によく使われる表現です。

  • 前職で培った知識や経験を生かせると考え、貴社を志望いたしました。
  • 他業種への積極的な事業展開にも力を入れている戦略に大きな魅力を感じ、貴社を希望いたしました。
  • 私が貴社を志望いたしました理由は、とても働きやすそうな社風であると感じたためです。
  • クライアント様と直接お話ができる機会を増やしたく、営業部への異動を希望いたしました。

なお、履歴書などの文書では、『御社』ではなく『貴社』を使うのが一般的です。

どちらを使用しても間違いではありませんが、文書内では二つを混在させないようにしましょう。

「いたしました」を使う際のポイントは?

いたしましたは使い勝手のよい表現ですが、いくつか注意すべきポイントがあります。

正しい使い方を理解し、さまざまな場面で活用できるようにしましょう。

「いたしました」と「致しました」の違い

メールなどの文書でいたしましたを使う場合は、漢字で『致しました』と表現することもあります。 

「不徳の致すところです」「私から連絡を致しました」のように、『致す』を単独の動詞として使用する場合に、漢字を用いた書き方が適しているとされています。 

逆に、「承知いたしました」「拝見いたしました」のように、補助動詞として用いる場合はひらがなのほうがよいでしょう。 

ただし、謙譲語としてのニュアンスをより強めるために、「承知致しました」というような表現が使われることもあります。両者の使い分けにはっきりとした正解はありません。

「いたしました」を連続で使わない

いたしましたは、多くの言葉に使える表現であるため、文章の中で無意識に連続で使用してしまうことも多いでしょう。

  • 先ほどこちらからメールを送信いたしましたので、ご確認いただきますようお願いいたします。

このように1文の中で連続して使うと、バランスが悪く読みにくい文章になってしまいます。 

最後を「お願い申し上げます」に変更するなど、意識して語尾を変化させるようにしましょう。

連続で使用しないように注意することで、単調な印象を避けることができます。 また、同じ文中だけでなく、各文章の終わりにも連続して出現しないようにしましょう。

「いたしましたら」「いたしましたので」の注意点

通常、いたしましたという表現は、言葉や文章の終わりに使用されます。しかし、『~したら』『~したので』というような接続詞を伴い、後に文章が続く場合もあります。 

『~いたしましたら』『~いたしましたので』と言う場合は、自分の行動により何かが発生する、または発生した状態を表します。

  • 私が到着いたしましたら、その時点でお電話差し上げます。
  • 昨日発注いたしましたので、先方からの連絡をお待ちください。

一方、自分ではなく相手や目上の人がした行動を表現したい場合は、『~なさったら』『~なさったので』を選択するのが正解です。

  • ○○様がこちらに到着なさったら、その時点で私からお電話差し上げます。
  • 貴社のご担当者様が発注なさったので、先方からの連絡をお待ちください。

「いたしました」を言い換え方

似たような言い回しの正しい使い方を知ることができれば、文章表現の幅が広がります。いたしましたの言い換えについて理解を深めましょう。

~しました

いたしましたという表現は謙譲語であり、目上の相手や取引先に対して使う上で失礼にあたることはありません。しかし、やり取りの内容や相手との関係によっては、やや大げさな表現に感じることもあるでしょう。 

そのような場合は、『~しました』を使えば、丁寧さを保ちながらも仰々しさを抑えたニュアンスで表現できます。

ただし、相手によっては失礼な印象を与えかねない言い回しでもあるため、慎重に使い分けることが大切です。

~させていただきました

『~させていただきました』と言い換えるには、自分が行うことに対して、事前に相手の許可を得ているような状況であることが望ましいといえます。 

単独で使ってしまうと、「こちらの意思にかかわらず勝手にそうされてしまった」というような印象を相手に与えかねない側面があるのです。 

例えば、「お電話させていただきました」と表現する場合は、「○○の件で」「折り返しの形で」などの説明を加えて使うようにしましょう。

まとめ

いたしました自体はとてもシンプルな意味であるため、さまざまな場面で使えます。

一方で、よく理解しないでいると誤った使い方をしやすい表現でもあります。 

漢字との使い分けや言い換えなど、ポイントを押さえた使用を心掛けることが大切です。

会話や文書の中でスムーズな使い方ができるようにしましょう。

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