好きになるとは?
好きという気持ちは泡のように儚く、また、いつその気持ちに火が付くか分かりません。そもそも、好きという感情はどのようなものなのでしょうか。
相手に惹かれること
好きな気持ちを定義づけることはできませんが、あなたが心を動かされたとき、それは誰か、もしくは何かに惹かれているといえます。
好きになるのは、感情が動いたときです。誰かの意外な一面を発見して胸がキュンと苦しくなる感情を好きと呼びます。人だけでなく、物や映画、アニメやマンガに感情が激しく揺さぶられたとき、人は「好き」という気持ちを手に入れているのです。
恋をしている人は常に相手の顔が思い浮かび、ずっと「何をしているか」が気になって、他のことが手につかなくなります。自分が自分でなくなるような感覚に陥るでしょう。相手の幸せを考えると、ふっと胸があたたかくなるような状態が『惹かれている』ということです。
相手のことを大切に思うこと
好きになった相手のことは、他の人よりも優先度が上がります。連絡がくればすぐに会いに行ってしまい、寂しいと言われれば、どうにかして孤独から救ってあげたいと思うでしょう。誰よりも大切にしたい存在、それが好きな人なのです。
大切に思う存在は、恋人だけではありません。友人関係の友愛や、親子間の家族愛など、好きという気持ちはそれぞれに当てはまります。
誰かを大切に思うと、自分のことがおざなりになります。大切な人は守りたい、助けたいと思うものだからです。自分のことより相手を優先してしまうのが「好きな人を大切にしたい」という気持ちの表れなのです。
好きにもいろいろな種類がある!
好きな気持ちは、恋人だけのものではありません。好きという感情はとても柔軟で、とらえどころがなく、探すとどこにでもあふれています。
恋愛感情の好き
恋人同士の好きな感情は、分かりやすく強烈な「好き」です。友人や家族としての好きと明確に異なる点として、以下のようなポイントがあります。
・異性として意識している
・肉体関係を結んでもいいと思っている
とくに『身体的なつながりを求めているか』というのは大きなポイントです。精神的に満たされたいというだけでなく、触れたり、抱きしめたり、キスをしたいと思ったりするのは恋愛感情の好きな気持ちになります。
恋愛としての好きな感情は貪欲で、相手のことを求めて独占したがるのも特徴的です。本能的な感情が頭の中を支配するのが、恋人に対する「好き」なのです。
友情の好き
友達同士の「好き」も、強い感情です。恋愛感情ではなく、人として尊敬できる、好ましい部分があるという感情が『友情の好き』です。
一緒にいて居心地がよく、信頼関係があるので強い安心感があります。つい放っておけずに気にかけてしまう、時間があれば会いたくなってしまうのも友情としての好きに当てはまります。
ただし、異性の友人同士での「好き」には少し注意が必要です。友人として接しているうちに、もっと相手のことを知りたい、触ってほしい、触れたい…そのような欲望がわき上がってきたら、友情としての好きを超えてしいるのかもしれません。
家族に対しての好き
家族愛ともいわれる、家族のことが好きな気持ちも存在します。家族は一番身近な存在で、コミュニケーションをとる最初の相手です。親は子を育てる中で子どもへの愛を獲得し、子は親に育てられる中で、愛情を受けます。
親と子だけでなく、一緒に育った兄弟やペットに対しての「好き」もあります。人は時間を共有することで、相手とのつながりが深まって人間関係が形成されます。
思春期やケンカなどで一時不仲になったとしても、この「好き」は簡単に消えることはありません。家族のためならつい手助けしてしまう、幸せになってほしいという感情が家族に対しての「好き」なのです。
人を好きになれないのには理由がある?
幼い頃は、人を好きになることに抵抗がありませんでした。しかし歳月を重ねるごとに、さまざまな体験によって心はかたくなになり、何かに惹かれる体験をすることは少なくなっていきがちです。人を好きになれない理由には、明確な理由があったのです。
過去にトラウマがある
イジメに遭ったり、浮気されたり、裏切られたりといった強烈な体験が、「好き」という気持ちを遠ざけることがあります。
人が人を信用できなくなるのは、あっという間です。心の傷はトラウマとなってあなたを厚い壁の中に閉じ込め、誰も近づけさせなくなってしまいます。
脳は、つらい出来事の方をより強く覚えているといわれています。危ないことをちゃんと覚えていないと、命の危機につながるからです。
だからこそ、人は危険を予測して生きています。「一度あることは、二度あるのではないか」と疑ってしまうのです。せっかく誰かを好きになっても、「また浮気されたらどうしよう」と予防線を張ってしまいます。これでは、誰かを好きになる余裕はありません。
自分に自信がない
自分に自信がないことも、人を好きになれない大きな原因です。
自己肯定感が低いと、「こんな自分なんか好きになってもらえない」と自ら身を引いてしまいます。好きになる前に、好きになることを諦めてしまうのです。
また、せっかく好意を寄せてもらっても「私を好きになるなんておかしい」と相手を疑ってしまって、興味がわくどころか警戒してしまいます。相手の好意を素直に受け取れず、過剰なものだと怖がって遠ざかってしまうのです。
自分自身を大切にしないと、誰かを大切にすることはできません。愛される価値のない人間などいないのです。
異性とのかかわりがない
女子校や男子校など、同性しかいない学校で育ったり、異性の兄弟がいなかったりする環境だとそもそも異性を知る機会がありません。
同性を恋愛対象とする人ではなく、異性との恋愛をするならば、異性がいないと始まりませんから、これでは好きという感情が分からなくなるのも当然です。
ドラマや恋愛マンガなどで見聞きした異性のイメージは、とても偏ったものかもしれません。現実にドラマのような恋愛は多くはないでしょう。
現実としての異性を知らないために異性を理想化し、「こんな人じゃなきゃ好きになれない!」と恋するハードルが上がっているのかもしれません。
人を好きになった経験がない
「好き」という感情はとても淡く、曖昧で、はっきりと感じることは困難です。失ってみて初めて気付く「好き」もあるでしょう。
自分の中でどのような感情を好きと呼ぶべきか分からず、恋愛をしたことがないと、好きな気持ちも分からなくなりがちです。
「胸がドキドキ、苦しくなるほど切なくなって、会えないと不安なのが好き」と決めつけてはいませんか?好きという感情は、嵐のような激しいものから、春のそよ風のようにひっそりと優しいものまで、いろんな表情があります。
無理に決めつけず、相手のことを大切にしたいかどうかというフラットな視点で考えてみましょう。
人を好きになる瞬間を紹介
人はどんなときに、人を好きになるのでしょうか。「こんなときに好きだと感じる」瞬間を集めてみました。
意外な一面を知ったとき
人は、慣れていく生き物です。毎日同じ風景、同じ行動をしてくると、最初は刺激的に思えても退屈に思ってしまいます。それを覆すのが『ギャップ』です。
仕事をバリバリこなしている男性が、ミスをして落ち込んでいる姿をあなただけに見せてくれると、そのギャップにキュンときてしまいます。
いつも頼りないなと思っていた人が、実はいつも道路側を歩いて自分を守ってくれていたと知ると、頼りがいがあることに気付きます。
意外な一面を知って自分思い込みが外れ、興味がわいてくると「好き」の始まりです。誰も知らない一面を自分だけに見せてくれるなど、特別さを感じてしまったらもっと好きになってしまうでしょう。ギャップは恋愛においてとても大切なのです。
一緒にいて楽しい、心地よいと感じたとき
話していて笑いのツボがぴったりだったり、好きなものが一緒だったり、感動する映画に同じタイミングで涙したり…一緒にいるのが楽しい、心地いいと感じられる間柄は、相手のことを好きになっているかもしれません。
ただし、好きという気持ちは時に思いもよらないところからあなたを翻弄することがあるでしょう。片思いなどは、楽しいばかりでなく苦しいと感じる場面も多くもあります。
それでも、相手を思うその瞬間は胸がときめいて、少しでも幸せが感じられるなら、それは好きということなのです。
恋をしたいと思ったら
好きという気持ちが分からなくなってずいぶん経つと、だんだんと寂しくなってきます。孤独に耐えるのが苦手な人もいます。最近恋していないな、と気付いたら、また新しい恋を探しに行きませんか。
新しいことを始める
新しい恋は、新しい人間関係の中にあるかもしれません。人と出会い、つながるには、新しいことを始めて違う環境に身を置くことが一番です。
料理教室や英会話教室など、習い事を始めてみるのもおすすめです。同じ空間で同じ作業をするのは会話も始めやすいですし、共同作業で絆が生まれます。
フットボールサークルやスポーツジムなど、男女ともに人気の高い施設で出会うことも多いようです。共通の趣味ならば話も合いやすく、自分の好きなことなので苦もなく活動を続けられます。大切なのは、実際に行って誰かと会話をしてみることです。
人に興味を持つ
好きになる気持ちが分からなくなってしまうのは、人に対して興味が持てないからかもしれません。
他人に対し、自己防衛を働かせすぎて関心すら持てないと、会話も続きません。過去に傷ついた経験があったとしても、目の前の人はあなたを傷つけようとしているわけではありません。心を開いて、相手を受け入れる余裕を持ちましょう。
まずは、隣の席の同僚や仲間が、何をしているか興味を持ってみましょう。他の人は何を考えてどのような行動をしているのか、自分なりに考えてみるのです。
他人の考えを「つまらない・面白くない」と切り捨てては、誰にも心を動かされるチャンスはこないでしょう。
誰かを好きになるためには、人のことを知りたいという気持ちが必要です。相手の悪いところではなく、良いところを積極的に探しましょう。
まとめ
人は一人では生きていけません。一人でも楽しく生きることは可能ですが、「好き」という気持ちは、あたたかい日だまりのようにあなたの人生を彩ることでしょう。
「好き」な気持ちは、ときにあなたを切なく苦しめるかもしれません。他人は思い通りにいかないものです。それでも、好きになることを諦めないでください。誰かを、何かを好きになるということは、幸せなことなのですから。