「および」の意味とは?
ビジネスシーンでは主に文書やメールで『A、およびB』というように何かを表現することがありますが、言葉の意味が分からないと、正しい内容を把握できません。どんな意味がある言葉なのか、見ていきましょう。
並列や追加をする際の接続詞
およびは漢字で『及び』と書き、複数のものを並べて表したいときに使用する接続詞です。『リンゴとミカンとバナナ』というように『と』で単語をつなぐこともできますが、ビジネスシーンでは稚拙な印象を与えることがあります。
やや堅い言い回しをしたいときに『リンゴ、ミカンおよびバナナ』と、表現することがあるのです。意味は『と』で並べた場合と変わりません。
▼使い方の例
・今度の新商品にはビタミンC、ビタミンB2および食物繊維が配合されている
・社員旅行の3日目、および4日目の行程は一部が変更になりました
「およぶ」の意味も
『および』は『およぶ』という動詞としても使われています。漢字は『及び』と同じで『及ぶ』です。及という漢字は、目的まで届く・届かせる・追いつく・達するなどの意味を持ちます。
何かがある時点や範囲まで、追いつく状態を表したいときに使用され「力のおよぶかぎりの努力をする」と言われたら、持っている力のありったけで、努力をするという意味です。
接続詞の意味しか知らないと、間違った文脈として受け取ってしまうことがあります。意外に出番が多い表現なので、動詞としての使い方も押さえておきましょう。
「および」の使い方
『および』の意味を理解できていたとしても、使い慣れていないと間違った表現をしてしまうことがあります。失敗を防ぐために、詳しい使い方を見ていきましょう。
同等の事柄に使う
『および』は、ジャンルや性質が全く違うものを並べたいときには使われません。例えば『ビタミンC、ビタミンB2および食物繊維』は、いずれも栄養素に属する単語です。
『3日目、および4日目』は、どちらも日付であることが共通点となっています。もし『3日目、および従業員』というように並べると、意味がよく分からなくなってしまうでしょう。
種類が異なるものや、レベルが違うものを並べていきたい場合は、ほかの表現をすることをおすすめします。また、『名詞と名詞をつなぎたいときに使う』ことも、押さえておきましょう。
書類などで使える堅い表現
『〇〇、および〇〇』という表現を、口頭で気軽に使う人はあまりいません。平常時に「鉛筆とボールペンを持ってきて」と指示されることはあっても、「鉛筆、およびボールペンを持ってきて」と指示されることはないでしょう。
堅い言い回しをしなければならないオフィシャルな場所では使うことがありますが、どちらかといえば、書類上で使われる表現であると覚えておきましょう。例えば、裁判や政府の公式発表などではよく用いられます。
句読点の位置は?
接続詞として『および』を使うときは、動詞の『およぶ』と区別するために『A、B、およびC』というように句読点を打ちます。『A、BおよびC』というように表記しても構いません。
『最後にあげるものの前』に、およびを持ってきましょう。並列するものの数が増えた場合も、同様です。ただし、並べたいものが二つの場合は『AおよびB』というように、句読点を省略する場合があります。
「並びに」との違い
『および』と似た意味の言葉に『ならびに』があります。およびと似た意味で使われますが、細かい部分が異なる点を押さえておきましょう。状況に応じてうまく使い分けられるように、意味や使い方を紹介します。
「ならびに」の意味と使い方
種類が異なるものや、レベルが違うものを並べていきたい場合『ならびに』を使用しましょう。漢字にすると『並びに』と書きます。
違うジャンルのものを、それぞれあげていきたいときには『ならびに』と『および』の両方を使用することも可能です。同じジャンルの事柄を整理しながら、違うジャンルの事柄を並べて案内したいときに使えます。
▼使い方の例
・新規開店にあたって、お客様ならびに関係者各位にダイレクトメールを送付しました
・ 1年A組の教師および生徒、ならびに2年B組の教師および生徒は、体育館に集合してください
そのほかの「および」の類語
『および』と近い意味で使われる言葉は多く、どれを使うか混乱しがちです。ビジネスシーンでよく使用される、類語の意味や使い方を見ていきましょう。
二つ以上のことを並行して行う様子を表現したい場合は『かつ』を使用します。『大胆かつ繊細な味わい』『親切かつ丁寧な対応』というように、動詞や形容詞をつなぎたいときに使いましょう。
二つあるもののどちらかを選ぶシーンでは、『AまたはB』という表現を使うことがあります。『A、およびBのいずれか』と言い換えても同じ意味です。
まとめ
ビジネスシーンやオフィシャルな文書で『および』という言葉が、活躍することは多いでしょう。同じジャンルで複数のものを列挙しながら、何かを案内したいときなどに役立ちます。
正しい意味や使い方が分かれば、うまく使いこなせるでしょう。間違った意味で使ってしまうと、社会人として恥ずかしい思いをしてしまいます。
動詞としての使い方や、類語表現なども知っておけば、意味をより深く理解できるはずです。正しい使い方をマスターして、必要なときに使いこなせるようになりましょう。