「こんにちは」と「こんにちわ」

手紙やメールなどを書くとき、あいさつの言葉から始めることは一般的です。『こんにちは』と『こんにちわ』のどちらか、ふと迷ってしまうことがあります。どちらが正しいのか、見ていきましょう。
「こんにちは」が正しい
『こんにちは』を漢字にすると『今日は』になるため、『こんにちわ』と書くことは間違いです。発音するときは『わ』で正解なのですが、文章にするときは『は』と書きましょう。
『こんにちは』の『は』は、助詞として前後にある言葉をつなげる役割を持っています。正しいあいさつをするために、例文をチェックしましょう。
▼使い方の例
・ こんにちは、お加減いかがですか?こちらは変わりなくやっております
「こんにちわ」と間違えられる理由
「私はB型です」と言いたいとき、『は』を『わ』と発音するルールがあります。表記するときは『は』と書くことが正しいですが、発音上は『わ』と読むので『こんにちわ』と間違った表記をしてしまうのでしょう。
間違いであることを知りながらも、友人同士の手紙などでふざけて『こんにちわ』を使っているうちに、そのまま勘違いして覚えてしまったケースもあるかもしれません。スマホの予測変換に上がってしまうのも大きな要因の一つでしょう。
言葉と言葉をつなぐ役割以外で『わ』を使う場合、「今、忙しいわ」「このゲーム、楽しいわ」というように、文末につけて前にある言葉を強調する際に使いましょう。
「こんにちは」について詳しく解説

語源を知ると、言葉の意味を深く掘り下げられ、どちらが正しかったのかと迷わずに済みます。『こんにちは』は、どのように成り立った言葉なのか、見ていきましょう。
「こんにちは」の語源や意味
普段、あたりまえのように使用する『こんにちは』という言葉は、実は省略されたものです。「今日は、ご機嫌いかがでしょうか」「今日は、ずいぶん寒いですね」などの、あいさつの後半を省略した表現になります。
『今日』は『こんにち』と読み、今日(きょう)のことです。本日・この日と言い換えても同じ意味になり、ほかにも、現在・現代・このごろなどの意味があります。
『今日わ』に書き換えると意味が通じないため、『こんにちわ』は間違いであることが分かります。本来は、後ろに続いていく言葉がある前提での表現だったことを押さえておきましょう。
他のあいさつの語源もチェック
こんばんはも同じように「今晩は、ご機嫌いかがでしょうか」「今晩は、蒸し暑いですね」などの、表現の後半を省略した形となっています。
おはようございますは、漢字にすると『お早うございます』です。『お早くから、ご苦労様でございます』『お早いですね』というように、早朝から働いている人に対し、声をかけていたことが語源とされます。
さようならは、漢字で『然様(さよう)なら』と表すことができ『そういうことならば』という意味です。『然様ならば、お別れしましょう』『然様ならば、また会いましょう』などの言葉を、省略したものになります。
「こんにちは」の類語
気軽なあいさつをしたいときに『どうも』を使うことがあります。「先日は、どうも」「やあ、どうも」など、口頭で使うことがあるでしょう。敬語ではないため、あらたまった場所や目上の人には使用できません。
女性が使う上品なあいさつである『ごきげんよう』も、こんにちはと同じ意味で使えます。出会ったときだけでなく、別れ際にも使える便利な表現です。
「こんにちは」を他の言語で言うと?
せっかくの機会ですから、ほかの言語のあいさつも覚えましょう。英語でこんにちはとあいさつしたいときは、相手との関係性によって言葉を使い分けます。
家族や友達には『hey』や『hello』と声をかけた後、調子を尋ねる流れが一般的です。それほど親しくない関係の人や初対面の人などに、あらたまったあいさつをする際は『Good afternoon』を使いましょう。
韓国語では『アンニョンハセヨ?』といい、アンニョンは安寧のことです。『無事で安らかでいらっしゃいますか?』という意味があります。目上の人や初対面の人に対して使える、丁寧な言い回しです。
中国語では、あらたまった場所では『ニーハオ』ですが、英語から派生した『ハイ』『ハァールゥオ』などの気軽なあいさつもよく使用されています。
「こんにちわ」もあり?

周囲の人が『こんにちわ』を使っていると、自分も使っていいような気がしてくるかもしれません。しかし、間違った言葉を使うと、思わぬリスクがあることを押さえておきましょう。
親しい間柄ならOKなの?
『こんにちわ』と書くと、日本語として意味が通じません。フォーマルな場で使えば、基本的な日本語すら間違いをする人と思われ、評価を大きく下げてしまいます。
友達同士で気軽なメールや手紙を出すときは、ふざけて『こんにちわ』と書いても構いませんが、正しい表記ではないことや使い分けるべきときがあることを、しっかりと押さえておきましょう。
普段からの癖で、ビジネス上の付き合いや目上の人に対し使ってしまうと「日本語を正しく理解できていない」「常識がない」など、ネガティブに受け取られてしまいます。不要なリスクを負わないために、正しい言葉を使いましょう。
まとめ
『こんにちは』は、身近なあいさつであるため、意識しなくても、自然に出てくることが多いでしょう。口頭であいさつするときはよいですが、文章にするときは正しく表記することが大事です。
漢字で表現すると『今日は』となり、後ろに続く『ご機嫌いかがですか』などの言葉が省略されています。発音上は『わ』ですが、文章にするときは『は』で書くことが正解です。
間違った使い方をすると、社会人としての常識を疑われてしまうため、正しい使い方をマスターしましょう。普段から、正しい文法を書くように意識することをおすすめします。