日本で使うピックアップの意味
ピックアップは英語の『pick up』がもとになっており、日常で頻繁に見かけたり使ったりする機会があります。一般的に、どんな意味で使われているのかチェックしましょう。
一般的には「拾い上げる」という意味
ピックアップという言葉は『ものを拾い上げる』という意味で使うことが多いでしょう。『落とした持ち物を拾い上げる』『道端に落ちている石を拾い上げる』などの意味で使います。
家具などを『持ち上げる』という意味で、使われることもあります。物質を手で持ち上げるだけでなく『アイデアを取り上げる』というように、考え・問題・話題などを、取り上げる際にも使用することがポイントです。
複数のものから「選び出す」
複数のものの中から、何かを選び出すときにもピックアップが使われます。例えば、会議やプレゼンなどでは「この中から、問題点をいくつかピックアップして」というように指示され、対象を選び出すシーンがよく見られます。
▼「選び出す」は和製英語
日本では一般的な使われ方ですが、実は英語の『pick up』には、何かを選び出すという意味はありません。いわゆる和製英語で、日本で独自の意味づけがされたものです。英語では、多くの中から何かを選ぶときは『pick out』という表現を使います。
意外と知らない英語のピックアップの意味
英語のピックアップは幅広い意味で使われ、全ての意味が日本語として定着しているわけではありません。日本では、意外と知られていない使われ方をチェックしましょう。
調子が良くなる・習得する
英語では経済や商売などの調子が、上向きになることを表現するときにもピックアップという言葉を使います。ビジネスシーンで『景気が良くなってきた』『商売が順調である』などの状況を表現したいときに使用します。
『技術を習得する』という意味で使うこともあり、見たり聞いたりしているうちに、身に付けた技術に対して使います。『現地の人と話しているうちに、知らなかった英単語を習得した』というようなシーンで使えます。
ピックアップという言葉を聞いただけでは、正しく状況を理解できないことがあります。文脈に注意し、場面に適した意味を受け取れるようにしましょう。
電話に出ること
英語だと『電話に出る』という意味でも、ピックアップを使用します。電話そのものを持ち上げる意味と勘違いしてしまいそうですが、応答するためには受話器を持ち上げなければならないと考えると、意味が分かりやすいでしょう。
また、電話機の代理応答の機能を『コールピックアップ』と呼ぶこともあります。一つの電話機だけでなく、別の電話端末からも代理で出られるようにする仕組みのことで、ビジネスシーンでは当然のように使われている機能です。
さまざまなシーンで使われるピックアップ
ピックアップという表現は、幅広い意味で使えることから、さまざまな分野で意外によく聞く言葉です。同じ意味であるとは限らないので、違いを押さえておくことをおすすめします。シーンごとの違いを見ていきましょう。
スポーツで使われるピックアップ
ラグビーの反則行為の一つにピックアップがあります。ボールが地面になければならないときに『ボールを拾い上げる反則』のことです。拾い上げる行為が、そのまま反則名になっているので、分かりやすいでしょう。
また、バスケットボールでは、ディフェンスがオフェンスのプレイヤーの動きを封じるプレーを、ピックアップといいます。ゲームを有利に進めるためには、相手のプレイヤーが自由に動けないようにうまく立ち回って、ノーマークの状態を作り出すことが必要です。
ピックアップができていないと、簡単にゴールされてしまいます。このように、スポーツによって意味に違いがあることを覚えておきましょう。
音楽業界のピックアップ
音楽の分野でも、ピックアップという言葉を使う機会があります。レコード盤の音溝から『音を取り出して取り込むこと』をピックアップといいます。
楽器の音を電気信号に変える装置もピックアップと呼ばれ、こちらも音を拾い上げることが役割です。エレキギターなどの音色を増幅させるために必要で、ピックアップがないとスピーカーから音を出すことができません。
アメリカに多いピックアップトラック
乗用車と軽トラックを組み合わせたような『荷台付きの車』を、ピックアップトラックと呼びます。車体の前の方にセダンのボンネットがあり、後部は開閉式の荷台になっていることが特徴です。
どちらかというと、アメリカに多い車で日本では見かける機会が少ないでしょう。荷物の運搬によく使われており、ピックアップカーと呼ばれることもあります。
まとめ
ピックアップはもともとは英語ですが、日本では独特の意味で使われることがある点を押さえておきましょう。英語では、多くの中から何かを選び出すという意味はなく、何かを拾う際や、物事を取り上げるときなどに使用します。
英語圏の人と会話をするときは、商売がうまくいっているという意味や、技術を習得するという意味でも積極的に使われることを覚えておくとよいでしょう。
音楽やスポーツなどでも使われますが、シーンによって意味が異なります。それぞれのシーンに合った使い方を覚えて、誤解を避けるようにしましょう。