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言葉の意味

間違えると失礼に…!『ご容赦願います』の意味&正しい使い方

2020/03/31

『ご容赦願います』は、ビジネスメールなどでしばしば見かける敬語表現です。用い方によっては、相手に不快な思いをさせてしまうこともあるかもしれません。正しい意味や使用方法を、例文や言い換えを交えながら解説します。

ご容赦願いますの意味って?

わかりにくい言い回しは、言葉を分けて考えることで理解しやすくなることがあります。意味や敬語の構造を解説します。

許してほしいという意味

『容赦(ようしゃ)』は「許す、手加減する、大目に見る」という意味の言葉です。「容赦しない」「情け容赦ない」など、否定の表現でよく使用されます。 

『ご~願います』は、比較的敬意の強い謙譲表現『お(ご)~願う』を、丁寧な言い回しにしたものです。「お教え願います」「ご連絡願います」のように使われます。 

ご容赦願いますとした場合は、「容赦をお願いする」という意味になります。「許してほしい」気持ちを示す謙譲の敬語表現です。 

なお、『ご容赦ください』も意味は同じです。文法上は、『お(ご)~くださる』を丁寧な形に変えた、尊敬の敬語表現となることに注意しましょう。

ご容赦願いますの使い方

相手やシーンによって、どのように使い分ければよいかを解説します。あらゆる場面で使用できるとは限らないことに注意しましょう。

目上の人に使える?

謙譲表現は、自分をへりくだって相手に敬意を示す表現です。したがって、目上の相手に対して用いるのが正しい使い方ということになります。 

仕事上、ミスやトラブルなどが発生してしまい、相手に許しを請うような場面は多々あるでしょう。そのようなときに、敬意を込めたフレーズとして使えます。 

ただし、相手によっては敬意が足りない表現と捉えられ、失礼な印象を与えてしまう可能性もある言い回しです。 

基本的に、敬語は正しく言葉を重ねるほど、敬意を強くできます。相手の立場や使う場面に応じて、さらに尊敬語や謙譲語を重ねる必要もあるでしょう。

口語としては正しい?

失敗してしまったことなどに対して謝罪する敬語表現は数多くあります。中には、話し言葉として違和感を与えてしまうものもあるため、言葉選びには注意しましょう。 

 ご容赦願いますは、口語としてやや軽い印象を持たれがちなフレーズです。上司・取引先・顧客などに対し、会話の中で用いるのは、ふさわしいといえません。 
口頭で謝る場合は「大変申し訳ありませんでした」「お許しいただけますでしょうか」「心よりお詫び申し上げます」などの言い回しが適切です。 

また、書き言葉として使う場合でも、繰り返し使用するのは避けましょう。何度も謝意を示したいなら、違う表現を使うなどして、くどい文章にならないようにすることが重要です。

ご容赦願いますようはあり?

より丁寧な言い回しにしようと考えたときに、『~ようお願いします』『~ようお願い申し上げます』などといった言葉を後ろに付け加えたくなることがあるでしょう。 

「ご容赦願いますようお願い申し上げます」という表現は、敬語として間違いではありません。しかし、「願う」という言葉が繰り返し出てくるため、きれいな文章でもないでしょう。 

この場合は「ご容赦くださいますようお願い申し上げます」とすれば、言葉の重複を避けられます。

より丁寧な言い換えも

ご容赦願いますというフレーズは、後ろに敬語を続けにくく、これ以上敬意を強めることが難しい言葉です。 より丁寧な表現にするには、前述したご容赦くださいのほかにも、以下のような言い換えで対応しましょう。

<例>

・ご容赦のほどお願い申し上げます。

・ご容赦いただければ幸いです。

・ご容赦いただきたく存じます。

ご容赦願いますを使う場面

以下で解説する二つのシーンで、主に使われます。状況をイメージしながら、正しく使えるようになりましょう。

相手へ断りを入れる

ビジネスシーンでは、取引先や顧客などに対し、支払いを催促したり何らかの行動を促したりすることがよくあります。

こちらからお願いをする前に、相手が既にアクションを起こしていたような場合は、催促すること自体が失礼にあたるでしょう。 
このような場面で断りを入れる文言に、ご容赦願いますが使えます。やり取りが行き違う可能性を事前に謝っておけば、相手の気分を害することなく連絡できます。 

 何らかのミスで相手に不利益を与えることが予想される状況や、不手際が発生する可能性が高いような状況でも、予防線を張る意味で同じような使い方が可能です。

相手へ許しを請う

既に発生してしまった失敗やトラブルが原因で、相手の手間を取らせてしまうような状況では、ご容赦願いますを用いて許しを請う表現が使えます。 

ただし、前述したように、相手によっては失礼にあたる可能性もあります。許しを得たい場面で使う場合は、より敬意を強める意識を持つことも大切です。 

許しを請うことは、相手に断りを入れることと違い、既に発生してしまったことに対するアプローチです。より慎重に言葉を選ぶ必要がある状況だといえます。 

ご容赦願いますという表現は、そのまま使ってしまうと「許してくれますよね」というニュアンスを与えかねません。失礼が許されないようなシーンでは、使用を控えたほうがよいでしょう。

ご容赦願いますの例文

上で解説した2パターンそれぞれの状況でどのように使われるのか、例文で確認しましょう。より敬意を強められる、後半部分の言い換えも紹介します。

何卒ご容赦願います

まずは、相手へ断りを入れる場合の例文です。前に何卒(なにとぞ)などを付け加えることで、より丁寧な表現になります。

<例>

・先日ご連絡差し上げました銀行口座へ、ご入金をお願いいたします。なお、本状と行き違いでご入金いただいておりました節には、悪しからず何卒ご容赦願います。

・弊社の在庫状況によっては、ご注文をお引き受けできかねますこと、何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。

次に、相手へ許しを請う場合の例文を紹介します。

<例>

このたびは、担当の者が貴社の備品を傷つけてしまったとのこと、誠に申し訳ございませんでした。本人には厳重に注意いたしますので、どうぞご容赦のほどお願いいたします。

平にご容赦願います

相手に許しを請うような文章では、「どうにか、なんとか」という意味で、『どうか』『平(ひら)に』という言葉が使われます。 

平にという表現は、より切実な気持ちを込めたいときに使われる、文語寄りの言葉です。謝罪の意を強めたいような状況で、以下のように使用できます。

<例>

・メインシステムの故障により、長時間サービスが利用できなくなり、皆様には多大なるご迷惑をおかけしました。平にご容赦願います。 

・彼らはまだ新人であり、教育が行き届いていない部分があることも確かです。礼儀を欠いた言動に対しましては、平にご容赦願います。 

ご容赦願いますの類語

似た意味の言葉を二つ紹介します。それぞれに微妙な意味の違いがあるため、そのまま置き換えられないことに注意しましょう。

ご了承ください

了承とは、「納得してもらう、受け入れてもらう」という意味の言葉です。今後起こるであろう出来事に対し、事前承認を得るような場面でよく使われます。 

ご容赦には「申し訳ない」と詫びる意味合いが含まれるのに対し、ご了承には謝罪の意が含まれないことを、下記で確認しましょう。

<例>

・先週お話いたしました件について、ご了承いただけますでしょうか。

・人気商品のため、売り切れている場合がございます。あらかじめご了承ください。

・来週月曜日と火曜日は、臨時休業とさせていただきます。誠に恐れ入りますが、何卒ご了承のほどお願い申し上げます。

ご理解ください

内容をしっかりと知ることにフォーカスする場合は、ご理解という言葉を使います。ご了承と同様に、謝罪のニュアンスは含んでいません。 以下例文で、使い方をチェックしておきましょう。

<例>

・我が社のボランティア企画に対し、日頃より皆様からのご理解とご協力をいただき、誠にありがとうございます。

・製品の形状が若干異なっている場合がありますが、上記のような理由であることを何卒お汲み取りいただき、ご理解いただければ幸いでございます。

まとめ

ご容赦願いますは、相手に許しを得たいような状況で使われる敬語表現です。事前に断りを入れたい場面でも使用できます。 

そのままでは失礼な印象を与えてしまう可能性があります。相手の立場や使用する状況によっては、前後に言葉を付け加えたり、言い換え表現を使ったりするなどしましょう。

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