「ですが」の意味とは?

日常会話の中で、『ですが』という言葉を使う機会は多いでしょう。ありふれた言葉なので、意識せずに使っている人もたくさんいます。どんな意味がある言葉なのか、見ていきましょう。
前の言葉を否定する接続詞
『ですが』は直前にある言葉を、否定するときに使う接続詞です。『〇〇ですが、〇〇です』というように使用します。相反する意味を持つ言葉を、つなぐ役割を持っていることが特徴です。
さまざまな種類がある接続詞の中でも、反対や対立の意味を続けたいときに使用する『逆接』の接続詞として使用することを押さえておきましょう。
▼使い方の例
・素晴らしい意見ですが、間違っている部分もあります
・電話を使ってもよいですが、短時間にしてください
・人前でしゃべることは苦手ですが、挑戦しようと思います
文頭では使用しない
文頭で『ですが、〇〇です』と使用するのではなく、必ず文中で使用します。文頭に使うと、何に対して反対や対立をしている話なのか、分からなくなりがちです。
どちらかというと、話し言葉として使うことが多く、本来は『しかし、〇〇では?』と使うべきところを『ですが、〇〇では?』と使ってしまう場合があります。
親しい人などには使っても構いませんが、ビジネスシーンや目上の人に使うと、言い訳のように聞こえがちです。失礼な印象を与えるため、使わないように注意しましょう。
言い換えできる「ですが」の類語

『ですが』と近い意味を持つ表現は、豊富にあります。言い換え表現を覚えておくと、シーンに合った言い回しができるはずです。類語の種類や、使い方を見ていきましょう。
「しかし」
『しかし』は『ですが』と同じ意味を持つ、逆接の接続詞です。先に出た話題と、相反する意見を述べたいときに使用します。ですがとは違い、文頭に使用できることがポイントです。
前に述べた話の補足をしたい場合には『ただし』を使用します。『しかし』には補足の役割はないため、間違えないように注意しましょう。
▼使い方の例
・できる限りの対応はしました。しかし、先方が納得してくれるかは分かりません
・カレーライスを注文した。しかし、売り切れだった
「けれども」
文書ではなく、話し言葉として逆接の接続詞を使用したいときに『けれども』が使われることは少なくありません。『ですが』や『しかし』と同じ、内容が矛盾する事柄をつなぎたいときに使用しましょう。
ビジネスシーンではふさわしくない表現であるため、使う場所を選びます。敬語表現ではないことを意識し、目上の人や社外の人には使わないように心掛けましょう。
▼使い方の例
・フルーツは好きだけれども、スイカは食べ飽きた
・気持ちは分かるけれども、延長は認められない
「ですが」を使う際の注意点

気軽に使ってしまいやすい『ですが』という接続詞には、注意したい点もあります。意味の上では間違っていなくても、ふさわしい場合とそうでない場合があるのです。どんな点に注意すればよいのか見ていきましょう。
書き言葉ではなく話し言葉?
『ですが』は、話し言葉として多用されています。話し言葉として使う場合、逆接の意味だけでなく、言いたいことを強調したり、理由を伝えたりする際に使うことがあるでしょう。
「予約をしたのですが、まだ入れませんか?」「急病人なのですが、診ていただけるでしょうか」などの、言い回しをしたことがある人は多いはずです。
文章に使用しても間違いというわけではありませんが、より慎重に敬語表現をしたい場面や、社外の人や目上の人に送る文書には使用しない方がよいでしょう。
目上の人に使うのはNG
『ですが』は『そうですが』の省略形であり、相手に対する敬意が含まれた表現ではありません。「〇〇ですが、何か」という表現を使えば、かなり失礼な態度だと受け取られてしまいます。
『何か』以降を省略せず「〇〇ですが、何か問題はございますでしょうか」と言い換えた方が、丁寧な印象になるでしょう。同様に『なのですが』も敬語表現ではないため、目上の人に不用意に使わないようにしましょう。
本当に必要な言い回しなのか、考えてから使うことが大事です。フォーマルな場所では『ですが』を使わず、『しかし』や『しかしながら』を使用した方が、失敗が少ないでしょう。
ラフな表現にも気を付けて
『〇〇ですが』とほぼ同じ意味で『〇〇なんですが』が使われます。友達同士のような気楽な関係性でよく使用される表現ですが、目上の人や初対面の人に対して使うと、失礼な印象を与えるでしょう。
『なんですが』の『ん』は『なのですが』の『の』を言いやすく変化させた形であり、ラフな表現です。シーンを考えずにあたりまえのものとして使ってしまうと、言葉の使い分けができない人だと思われてしまいます。
『です』という丁寧な断定表現が入っていますが、敬語ではありません。普段から使用していると、ついついオフィシャルな場所でも使ってしまいやすいため、気を付けましょう。
まとめ
『ですが』は逆接の接続詞の一つで、文中に使用します。『しかし』と同じように使用できますが、文頭には使えない表現であることを押さえておきましょう。
敬語表現ではないため、目上の人や社外の人に使う表現として適していません。どちらかというと、口語表現として使われることが多い言葉で、ビジネス文書では『しかし』『しかしながら』などの表現を使うことが一般的です。
親しい間柄の人に使う分にはよいですが、お客様対応をする際や、目上の人と接するときなどは間違った使い方をしないように注意しましょう。