「邁進する」の意味とは?
まずは言葉の意味を紹介します。同じ意味だと思われやすい『精進』との違いについても確認しましょう。
恐れることなく前進すること
『邁進』は『まいしん』と読み、『恐れることなく前進すること』という意味です。『邁』と『進』のどちらも『進む』という意味で、二つの漢字を合わせることで意味が強調されています。
具体的には、目標などに向かって、ひるむことなく前向きに取り組む意志や様子を表しています。堅い響きのある言葉のため、日常会話での出番は少ないですが、ビジネスなどあらたまったシーンで使われます。
間違いやすい「精進」の違い
同じ意味だと思われがちなのが、『一つのことに精神を集中して励むこと』という意味の『精進(しょうじん)』です。もともと『雑念を去り、仏道修行に専念すること』を表す言葉で、苦労を伴う努力が必要なことに取り組むというニュアンスがあります。
『邁進』は主に目標や目的を述べるのに対し、『精進』は誤りや失敗などに対して使われることがあるという違いがあります。例えば、「同じ過ちを繰り返さないように精進いたします」のように使われることが多いでしょう。
前向きな意志を示す言葉ではありますが、仰々しく「大変そうだな」という印象を与えがちかもしれません。
ビジネスでの「邁進する」の使い方や例文
ビジネスでは、主に挨拶や年賀状に使われています。それぞれの使い方を分かりやすい例文とともに紹介するので、アレンジして実際に使ってみましょう。
挨拶で使う場合
職場では、仕事に対する姿勢や目標についての意思表示などを含めた挨拶をする場面があります。例えば、新しい部署に配属になったときや取引先への挨拶のときなどに『邁進する』が使えます。
謝罪の言葉として用いられることも少なくありません。
▼使い方の例
・この度〇〇部署に配属された〇〇です。至らない点が多々あるかと思いますが、任された業務に対し邁進していきたいと思っております。よろしくお願いします
・今後も社員一丸となって皆様のご期待に添えるよう邁進してまいります。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます
・今後、同じような不具合が発生しないよう、品質の改善・向上に邁進してまいる所存でございます。今後とも、ご愛顧を賜りますよう、心よりお願い申し上げます
年賀状で使う場合
社会人になると、会社の上司や取引先に年賀状を出すこともあるでしょう。『邁進する』は目上の人にも使える丁寧な表現のため、年賀状の挨拶文として使われることも多々あります。
力強さのある表現のため、仕事に対する熱意や意志が伝わりやすく、好印象を与えることもできるでしょう。
▼使い方の例
・いつも温かくご指導いただき、心より感謝しております。今年は、〇〇達成に向けて邁進してまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします
・昨年は格別のご指導を賜り厚く御礼申し上げます。本年もより一層邁進してまいる所存でございますので、引き続きご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします
「邁進する」の類語
類語を三つ紹介します。それぞれのニュアンスを理解し、使う相手や場面に合わせて適切な言葉を選べるようになりましょう。
「専心」
『専心(せんしん)』は、『一つのことだけに集中すること』という意味です。他のことに気を取られず、一つのことに専念するというニュアンスがあります。どちらかと言うと、精神面の集中力を指している言葉といえるでしょう。
▼使い方の例
・彼が世界的な発見となる研究成果を残せたのは、長期にわたり研究に専心してきたためだ
・それまで何度も失敗してきたが、数か月間、資格試験の勉強に専心したら、見事に合格できた
「尽力」
『尽力(じんりょく)』は、『自分も持っている力をできる限り出し、力になること』という意味です。人に力を貸すときや人からの協力に対して使います。丁寧な表現のため、目上の人やビジネスシーンで使いやすいでしょう。
▼使い方の例
・社運を懸けた新商品の開発に、チーム一丸となって尽力いたします
・プロジェクトの成功は、貴社の協力のおかげでございます。ご尽力賜り心より感謝申し上げます
「突進」
『目標に向かって一気に進むこと』という意味の『突進』も言い換えて使えます。力強く目標に向かって突き進むというニュアンスがある言葉です。
▼使い方の例
・ひるむことなく突進していく姿に心を打たれる
・売上アップために脇目も振らず突進し、見事な成果を収めた
まとめ
『邁進する』は『恐れることなく前進すること』で、『一つのことに精神を集中して励むこと』という意味の『精進』とは意味が異なります。
かしこまった場面で使いやすい表現で、主に挨拶や年賀状で使われます。『専心』『尽力』『突進』などの類語もあるので、使用場面に合わせて適切な言葉を選び、実際に使ってみましょう。