休日、料理教室での出会い
優奈は、小さい頃から控え目な性格だった。毎年、バレンタインデーになると誰よりも手の込んだチョコレートを準備しているのに、恥ずかしくて好きな男子に告白したことはなかった。だから、いつも友だちに好きな人を横取りされることに……。
本当は声を上げて泣きたいくらい落ち込んでいても、決して顔には出さない。友人を恨んだりもしない。優しくて、少し鈍感なところが、優奈の魅力だ。
「隣に座ってもいいですか? 」最近通い始めた料理教室で、大手商社に勤務する男性に声をかけられることになるが……。
初デートはスイーツ食べ放題
声をかけてきたのは、5歳年上の裕也だった。「どこに住んでるの?」「何の仕事してるの?」「休みの日は何をしているの?」まるで合コンのような会話を交わしたあと、連絡先を交換して料理教室をあとにした。
小人数のグループレッスンを一緒に受けることで、2人の距離は徐々に縮まり……。
3回目のレッスンを受けた日、人生で初めて「行ってみたいスイーツ食べ放題があるんだけど、今度一緒にどうですか?」と自分からデートにお誘いした。返事はもちろんオッケー。教室の外で会うのが初めてとは思えないくらい息がぴったりで、恋人同士のように心地よい距離感。スイーツの味が分からないくらい緊張したけど、最高に楽しい時間を過ごせた気がする……!
そしてその帰り道、彼から告白されて交際がスタート。「今日食べたケーキ、今度うちで作ってみない? 」家庭的でハイスぺな裕也との次のデートは、いよいよおうちデートになりそうだ。
交際から結婚まで
初めてのおうちデートの日、彼に案内された先には、都内を一望できるタワーマンションの最上階に、アイランド式のキッチンが置かれた広いリビング。思わず腰を抜かしそうになった。まさかここまでハイスペックだとは思いもしなかった。そういえば、同じ服を着ているのを見たことがないし、身に着けているものすべてが高価な感じがする。
「この人とは住む世界が違いすぎるかも……」そんな迷いを感じながらも、優しくて家庭的な彼にますます惹かれていく優奈。交際1年が過ぎた2人の記念日にプロポーズされたときは断ることも考えたけれど、やっぱり彼以外の男性との結婚は考えられなかった。「お願いします」
両親は弁護士で、兄は裁判官、妹は行政書士というエリート一家で育った裕也と、一般サラリーマン家庭の一人娘として育った優奈の結婚は、独身女子たちから“ハイスペ婚”として羨望の眼差しを受けた。
でも、なぜか僻む者はいなかった。だって、どんなに夫の帰りが遅くても温かい夕飯を用意して、少しでも安くて新鮮な食材を選び、レストラン並みの食事を毎日作る妻の働きを知っていたから。友人たちは、「私には真似できない」「ハイスぺ妻じゃないと成り立たないじゃん! 」といったリアクションをするのであった。
Editor:mook
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