夏の肌トラブルには「肌免疫」が関係している?
30代は、20代では気にならなかったシワやシミが目立つようになり、肌の老化を実感してくる時期。シワやシミの原因の多くは紫外線ですが、そんな肌トラブルには「肌免疫」が関係してます。
「肌免疫」とは肌本来が持つ防衛機能で、紫外線や大気汚染、乾燥などの外側からの刺激や、栄養バランスの乱れ、ストレスといった内側からの影響から肌を守るために、肌が元々持っている免疫のことです。この「肌免疫」の働きが、肌トラブル対策のカギになるのです。
では「肌免疫」を高めるためには、何が必要なのでしょうか。
「肌免疫」を高める!ランゲルハンス細胞って?
医学博士の細井先生によると、「肌免疫」を高めるためには「ランゲルハンス細胞」が重要とのこと。そんな「ランゲルハンス細胞」がどんな働きをもつ細胞であるか、解説いただきました。
(1)ばい菌や有害な化学物質などの排除
体に侵入してきたものを、良いものか悪いものか判断し、全身の免疫系に対処方法を伝える司令塔の役割があります。肌はもちろんのこと、体の内部で起きるトラブルを防ぐ大事な機能を持っています。
(2)紫外線や乾燥といった刺激反応の鎮静化
肌は外部と面しているので、常に紫外線や化学物質など様々な刺激を受けています。そういった刺激に肌が過剰に反応してしまうと、肌トラブルや肌の老化を加速させることに繋がってしまいます。そんなトラブルを防ぐために、刺激に対する反応を鎮静化する役割を「ランゲルハンス細胞」は担っています。
また、紫外線などの外的刺激だけでなく、精神的なストレスも「ランゲルハンス細胞」を減少させる大きな刺激になることが分かっています。
しかし、スキンケアや食生活など日頃の習慣を見直すことでランゲルハンス細胞の数を回復させる力を活性化することができます!肌の免疫機能を持つランゲルハンス細胞そのものを継続的に生み育て、最適な数にすることが健康で美しい肌には重要です。
それでは具体的に、どのようなアプローチを行えばよいのでしょうか。
「肌免疫」を高めるアプローチ法とは?
今回、肌免疫を高めるために必要なアプローチ法を、Y’sサイエンスクリニック統括院長日比野先生に教えていただきました。
大切なのは、毎日の習慣を見直し、以下のポイントを実践すること。それにより、肌本来の持つバリア機能である「肌免疫」を高めることができるそうです。
この夏に紫外線に負けない肌を作るため、ぜひ今日から実践してみてください。
(1)毎日のスキンケア
・美容液を取り入れたスキンケアを
乾燥して、肌の生まれ変わりのターンオーバーを妨げないよう、美容液を取り入れた丁寧な保湿を心掛けましょう。肌トラブルを未然に防ぐために、いつもの化粧水・乳液の手順に美容液を取り入れて、しっかりと肌に浸透させることによって「肌免疫」を高め、内側からハリのある透明感溢れる肌になります。
・刺激の強い成分を極力避けること
界面活性剤や防腐剤(パラベン)といった刺激の強い成分をなるべく避けて肌への負担を軽減しましょう。また、クレンジングや洗顔を行うときに強く擦りすぎると、柔い肌の刺激になってしまうため要注意です。
紫外線や大気汚染物質といった、毎日肌が受ける刺激に対して、外側からしっかりと対処することは肌免疫を低下させないためにはとても大切です。
(2)バランスの良い食生活
バランスよく栄養を摂り、身体内側から美しくなりましょう。胃腸の環境がよくなると肌免疫も安定して皮膚の状態も改善されます。また、肌免疫を高めるためには、以下の食材を積極的に摂取しましょう。
・抗酸化作用のあるカラフルな緑黄色野菜(にんじん、小松菜など)
緑黄色野菜に含まれるβカロテンには皮膚や粘膜の免疫力をアップさせてくれると言われており、紫外線やストレスでダメージを受けてバリア機能が低下したお肌をサポートしてくれます。朝の野菜ジュースなどは手軽に摂れるためおすすめです。
・保湿力を高めるタンパク質(肉、魚、大豆など)
皮膚を形成する素であるタンパク質が不足すると、新陳代謝を妨げ肌を老化させて、たるみやくすみの原因に。同時に、肌のハリや弾力を保つコラーゲンの源でもあります。
・ビタミンC(キウイ、いちご、みかんなど)
皮膚や粘膜を健康に保つために必要不可欠なのがビタミンC。コラーゲンの生成に必要不可欠で、肌のターンオーバーを整える作用があります。
(3)ストレス解消法を見つける
メンタルはホルモンバランスと大きく関わっており、ストレスを感じるとストレスホルモンが増えることで活性酸素を増やしてしまいます。活性酸素は強い酸化力を持つ物質で、細胞を酸化させて老化を加速させたり、炎症を引き起こしたりするため、肌トラブルの大敵です。どんなに些細なことでも、自分なりにストレスを解消できる方法を複数持って実践することが大切です。
肌が変わってくる30代。肌トラブルを回避するために、夏の紫外線対策は必須です。今年からはUVケアと同時に、肌免疫を高めるアプローチ法を実践し、シミやシワのない若々しい肌をいつまでもキープしていきましょう。
今回お話を聞いたのは…
細井純一
医学博士/資生堂
東京大学医科学研究所で学位取得後、米国NIH環境健康科学研究所において3年間癌抑制遺伝子の研究、ハーバード大学のCBRCにおいて4年間皮膚免疫の研究を行った後、資生堂研究所に入社。皮膚とこころ・全身との関係について研究を続けている。
日比野佐和子
Y’sサイエンスクリニック統括院長
大阪大学医学部大学院医学系研究科卒業・博士課程修了。現、大阪大学医学部大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学講座特任准教授。同志社大学アンチエイジングリサーチセンター講師、森ノ宮医療大学保健医療学部准教授、ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長を経て、平成25年に当院院長に就任し現在に至る。TVや雑誌へも多数出演。
Editor:Mihoko Sakurai