「R.I.P.」の従来の意味は?
ネット上でもよく見かける『R.I.P』には、どのような意味があるのでしょうか?R.I.Pが本来持つ意味や由来・読み方・表記について解説します。
R.I.P.は「安らかに眠れ」という意味
『R.I.P.』はラテン語の『requiescat in pace』の頭文字を取った俗語です。『安らかに眠れ』という意味があり、亡くなった人に対して使われます。
キリスト教圏の葬儀で神父が故人の冥福を祈る際に使用されたり、墓石に刻まれたりする言葉です。著名人などの訃報を伝える新聞の見出しでもよく見られます。
日本では仏教式の葬儀が一般的です。映画やドラマの中などで見聞きしたことはあっても、実際に使われているシーンを目にした経験がある人は少ないかもしれません。
現在は英語の頭文字という認識も
『R.I.P.』の由来は本来ラテン語の『requiescat in pace』ですが、現在は英語の『rest in peace』の頭文字ととらえる人もいます。
『rest in peace』にも『requiescat in pace』と同様『安らかに眠れ』という意味があり、頭文字を取ると『R.I.P.』になるためです。
現在の英語にはラテン語のボキャブラリーが含まれており、つづりが似ている言葉も多いのです。
『requiescat』は動詞の『rest』と同じく、『休む』という意味合いを持っています。ラテン語の『pace』・英語の『peace』はどちらも『平和』という意味の単語です。
R.I.P.の読み方や正しい表記について
R.I.P.を一般的な『アールアイピー』のほか、『リップ』とつなげて読む人もいます。ただ日本語で『リップ』と読むと口紅や唇と混同しやすいため、使用する場面を選ぶでしょう。
SNS上で使われる場合は『RIP(rip)』と表記するケースが増えていますが、本来の正しい表記には『R.I.P.』とピリオドが入ります。
SNSではピリオドを入れると目的のタグと認識されない場合もあるため、使うシーンによって適した表記を選びましょう。キリスト教圏の葬儀といった正式な場で使用するときは、ピリオドを入れた正しい表記が必要です。
「R.I.P.」のネットスラングでの意味・使われ方
R.I.P.はネットスラングとして、本来の意味とは少々違った場面で使われることがあります。どのようなシーンで使用されているのか、具体例を挙げて見ていきましょう。
大切なものが失われたことを指す
『R.I.P.』が持つ本来の意味を考えれば、軽々しく使用する言葉ではありません。しかし現代のネット上では、人間の死だけでなく『日常の何気ない喪失体験』に対しても使われています。
例えば、お気に入りのグッズを誤って壊してしまったときです。思いがけずに大切なものを失った事実と悲しい気持ちを表現して、『R.I.P.』を使います。
「さようなら、お気に入りのマグカップ。R.I.P.」というように、愛用していたグッズに対する思いを込めて投稿されているのです。
ハロウィンの仮装やゲームでも
ハロウィンは日本でいうお盆のようなイベントであり、先祖の魂が家を訪ねる日を祝う祭りです。先祖と一緒に悪霊が入ってきてしまうのを防ぐために、仮装や焚火をして備えていました。
現在の日本ではドラキュラやフランケンシュタインなど定番の仮装以外に、有名人やヒーローの格好をして楽しむ人もいます。
ハロウィンで『R.I.P.』が使われるのは、特にお化けや死者の仮装をするときに雰囲気を出すためです。墓石を模した飾り付けに書くとリアルさを演出できるでしょう。
オンラインゲームなどで誰かが倒された際にも、チャット欄に『R.I.P.』の文字が並びます。実際に亡くなったわけではありませんが、仮想現実で死んだ敵やプレーヤーに対してかける言葉として一般的です。
「R.I.P.」のその他の意味や使われ方
R.I.P.とは違う意味を持つ英単語の『rip』も存在します。どのような言葉か知っていると、表記が同じでも文脈から判断できるでしょう。動詞のripの意味や用法を解説します。
動詞としてのRIP
『R.I.P.』とピリオドが使われている場合は故人を悼むフレーズですが、文中で『rip』が使われているなら動詞です。動詞としてのripは『切り裂く・引き裂く・はぎ取る』という意味を持っています。
『Ripped denim』はダメージジーンズを表しており、直訳すると『破れたデニム』です。『Jack the Ripper』は19世紀末にイギリスで起きた連続殺人事件の犯人『切り裂きジャック』を表します。
このように動詞から変形した形容詞・名詞としての使い方もあるため、前後の内容や話題から『R.I.P.』のピリオドを省略した『rip』と見分けましょう。
SNSのハッシュタグで『rip』と単独で使われている場合、ほとんどは動詞ではなく『R.I.P.』のピリオドを抜いたものです。
使い方や例文もチェック
動詞の『rip』は何かを引き裂いたり、破ったりする行動を表すときに使う単語です。具体的には以下の例文のように使います。
- I ripped up the letter.(私はその手紙を破いた)
- I ripped open the envelope.(私はその封筒をびりっと破いて開けた)
上記の『ripped』は過去形です。人が引き裂いたり破いたりする行動意外に、紙や布自体が『破れる』という意味で使う場合の用法も覚えておきましょう。
- That cloth rips easily.(あの布は簡単に破れる)
主語が自分や会話の相手ではないため、三単現の『s』を付けて『rips』とします。紹介したような文章で使われているのを見かけたら、『R.I.P』の省略形ではなく動詞と判断できるでしょう。
まとめ
R.I.P.はラテン語で『安らかに眠れ』という意味の『requiescat in pace』から、頭文字を取って作られた言葉です。現在では同じ意味と頭文字の英語『rest in peace』の頭文字とも認識されています。
本来は故人を悼む言葉ですが、SNSやネットの掲示板・ゲームなどではネットスラングとしてよりフランクに使われるのが一般的です。
SNSでのタグ付け・単なる省略の意味でピリオドを抜き『RIP(rip)』とする場合は、動詞と見分ける必要があります。前後の文脈や紹介した例文を参考に、どちらの意味で使っているのかを考えましょう。