そもそも「以降」の意味とは?
『以降』は、日時や範囲を区切る際によく使用される言葉です。正しく覚えているつもりでも、勘違いしてしまうことがあるでしょう。
ビジネス文書や重要書類に記載されている場合、間違って受け取ると重要なチャンスを逃してしまいかねません。正しい意味を見ていきましょう。
それより後のことを指す
以降は『それより後』と言い換えても、意味が通じる言葉です。指示されているものより、後ろにあるものを指すときに使用します。例えば『発売は7月以降を予定』と表現されていたら、7月より後に発売するという意味です。
この例では詳しい日付や時間は示されていないため、7月のいつからであるかははっきりと分からないものの、6月中はまだ発売されておらず、早ければ7月1日からの発売であることが分かります。
「以」は起点を意味する
以降の意味が分からなくなった場合、『以』と『降』に分解して考えると分かりやすいでしょう。以には『起点』という意味があり、起点とは出発点のことです。
『中央本線の起点は東京駅である』などと使用し、始まりの場所であることを意味します。この場合、区切りとして考えると東京駅も含まれることになるのです。
降には『そのときから後』という意味があり、二つの漢字を合わせると、起点となる日時や範囲よりも後ろという意味になります。
「以降」が含む範囲を解説
漢字の意味が分かれば、以降が指し示す範囲も見えてきたはずです。どこからどこまでが範囲に含まれるのか、詳しく見ていきましょう。
〇日、〇時は〇も含む
『〇日〇時以降』と表現する場合、起点となる日時を含みます。例えば『16日以降』と指示された場合、16日の当日を含み、締め切り日が設定されていない場合は『16日を含めてずっと』という意味です。
『午前10時以降』と指示された場合、午前10時から後、つまり午前10時0分0秒が起点となります。
また、日時に対して使うほかにも、出来事で区切ることが可能です。例えば、『あの事件以降、叔父から連絡がない』という場合、事件が起きた日を境に連絡がないという意味になります。状況に応じて使い分けましょう。
使うときは締め切りも設定して
以降という言葉を使うシーンを思い描いてみると、『〇日の〇時以降、〇日の〇時までこちらのサービスは使用できません』というように、期限を区切りたい場合に使用することが多いでしょう。
ビジネスでやりとりをする際は、締め切り日も提示しましょう。締め切りを設定できない場合を除き、期限を明確に設けないと、混乱のもとになります。
『受付期間は7月1日午前9時から14日午後4時まで』というように、期限が指定されていれば、案内された側は期限内の都合がよい日時に受付できるはずです。
「以降」の類語もチェック
『以降』には、似た意味を持つ言葉が豊富にあります。言い換え表現も分かっていた方が、より言葉の意味を深く理解できるはずです。意味や使い方をチェックし、状況に応じて正しく使い分けましょう。
「以来」
『以来』は『ある時点から今まで引き続き』という意味がある言葉です。以降を使用する場合とは違い、先のことではなく過去の出来事に対して使う特徴があります。
意味が分かれば、明後日以来というような使い方はできないことが分かるでしょう。先のことに対して使用すると、未来の出来事を予測できることになってしまいます。
▼使い方の例
・こんなに長い時間、自転車に乗るのは小学校以来だ
・こちらに引っ越してきて以来、あの人には一度も会っていない
「今後」
今の時点から、後のことを表したいときは『今後』を使います。今現在以降のことに対して、使いましょう。『これから』『以後』などに言い換えても、意味は同じになります。
これからとの違いは副詞として使ったときに、違和感があるか否かです。「これから行く」とはいっても「今後行く」とは言いません。後ろに続く言葉を時間的な意味で修飾したい場合、これからの方を使いましょう。
▼使い方の例
・お客様からのクレームを真摯に受け止め、今後の課題にしていきたい
・今後も、変わらぬお付き合いをお願いいたします
「以後」
基準となる日時以降のことを『以後』といい、以降とほとんど同じ使い方をします。以降は時間の経過そのものを強調することに対し、以後は『基準となる時点から後に起こった出来事』を、強調する意味合いがあると覚えておきましょう。
『その後』『今後』などにも、違和感なく言い換えられます。反対語は『以前』で、基準となる日時より前を指し、『以降』の反対語として使っても意味は同じです。
▼使い方の例
・以後はグループに分かれて散策します。それぞれの集合場所に移動してください
・ご指摘いただき、ありがとうございます。以後は、このようなミスがないように注意します
まとめ
〇日以降となっている場合、対象となる範囲は『〇日を含んでその後』です。『あのことがあって以来』というように、出来事と組み合わせて使用することもできます。
以来・今後・以後など、近い意味の言葉が多く、使い分け方に悩むことがありますが、いずれも日常生活やビジネスシーンでよく使う表現です。それぞれの意味や使い方を覚えて、正しく使い分けましょう。