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「小職」とは?正しい意味や類語、「小生」との違いなどを解説
言葉の意味

「小職」とは?正しい意味や類語、「小生」との違いなどを解説

2021/07/15

「小職」は、ビジネスにおけるメールなどの文書で比較的よく使われる敬語表現です。正しく使用すれば表現の幅を広げられますが、誤用が多い言葉でもあります。そこで今回は「小職」の正しい意味や類語を詳しく解説していきます。「小生」との違いなども合わせて紹介していくので、気になった人はチェックしてみてください。

「小職」とは?

『小職』とは具体的にどのようなことを表す言葉なのでしょうか。意味と由来について解説します。

もともとは官僚を表す言葉

『小職』は『私』などと同じく、自分自身のことを示す一人称として使われる言葉です。

正しい読み方は『しょうしょく』であり、食べる量が少ないことを表す『少食』と同じ読み方です。口頭では、少食のイントネーションが最後まで平坦であるのに対し、『小職』は語尾を下げて発音します。

もともとは、官僚などの役所における地位の高い職員が、同等もしくは目下の人に対し、自分をへりくだって表現する際に使われていました。

現在でも、辞書では「官職に就くものが自分をへりくだって表す謙称」などと解説している記載が多く見られます。

昔は『職』という概念が役所などで働く公務員にこそ存在するものだという認識が強かったことから、『小職』という言葉が生まれたといわれています。

現在は自分をへりくだる謙譲語

官職など公務員の間で誕生した『小職』ですが、現在では民間企業の役職者が使用するケースも増えています

役所の職員に使われていた頃と同じように、同等もしくは目下の人に対し、自分をへりくだる謙譲語として使用します。

基本的には文語表現であり、ビジネスにおけるメールや手紙などの文書でよく使用され、口語として使われる場面はそれほど多くありません。

また、論文やレポート、ブログ上の記事など、不特定多数に向けて書かれた文書内でも、筆者自身のことを『小職』と表現しているケースが散見されます。

「小職」を使う正しいシーン

『小職』は、ビジネスシーンでよく使用される言葉です。具体的にどのような場面で使われているのか、主なケースを紹介します。

『小職』宛は自分に郵便物を送ってほしいとき

代表的な使用例として『小職宛』が挙げられます。郵便物などを自分宛に送ってほしい際に使用する言葉です。

取引先など社外に対して使われるほか、会社に届いているはずの荷物がまだ自分のもとに届いていない場合など、社内向けの言葉としても用いることが可能です。FAXやメールを自分宛に返信してほしいときにも使用できます。

  • 来週の会議で使用する資料は、小職宛に郵送していただきますようお願い申し上げます。
  • 先ほど送信いたしましたFAXにご記入いただき、小職宛にご返信ください。

なお、上記のような案内を受け取った場合、返す文面に『小職様』などと記載してしまうケースがあるようですが、もちろん間違いです。『○○様』と相手の名前を書きましょう。

社内で連絡事項があるとき

『小職』は、社内でやり取りされるメールや文書などでも使用できます。立場の上下関係が分かりやすい場であるため、社内こそ使いやすい環境であるともいえるでしょう。

各種書類の提出先を指定したり、自身の配属転換や転勤を報告したりと、社内でのさまざまな連絡事項において、自分を表す言葉として使えます。

しかし、一般化している表現とはいえないため、特に若い社員が多いベンチャー企業などで使う場合は、社内で意味が伝わらない場合もあるかもしれません。

言葉の意味を理解している人に対して使ってこそ、使う意味のある言葉ともいえます。わざわざ周知させるほどの言葉でもないと考えられることから、状況によっては使用を控えたほうがよい場合もあるでしょう。

「小職」の例文

ビジネスシーンでの文書で使用できる例文を紹介します。使い方を理解し、実際に役立てられるようになりましょう。

自己紹介

異動先・転勤先での社内挨拶や、顧客や取引先の新しい担当者になった際の挨拶などで、自己紹介をするときの例文を紹介します。

  • 小職は、この度4月より営業部に転属致しました○○と申します。
  • いまだに半人前な小職ではございますが、何卒今後ともよろしくお願い申し上げます。

これらの例文は、相手が自分と同等か目下の立場であることを確認してから使用しましょう。特に、官僚や公務員を相手に使う場合は、上下関係をしっかりと把握しておくことが大切です。

連絡事項

連絡したいことがある場合や連絡がほしい場合に、自分をへりくだって『小職』を使えば、同僚や部下に対して自分の立場を配慮させることができ、円滑なコミュニケーションにもつながります。

あくまでも自分と同等もしくは目下の人に向けた文章であるため、全体的に敬語を使いすぎないような意識を持つことがポイントといえるでしょう。

  • 何かありましたら『小職』までご連絡願います。
  • 小職からお渡ししたレポートに関しまして、お目通しいただけましたでしょうか。
  • 本日午後から出張の予定が入っているため、誠に恐縮ながら小職は不参加とさせていただきます。
  • 来月の小職の出社予定日は下記の通りです。
  • 小職体調不良のため、お昼から休みをいただいております。

締めの挨拶

ビジネスシーンでやり取りするメールなどの文書は、大半が事務的な内容であるため、結びの言葉も同じようなトーンであっさりと締めてしまいがちです。

しかし、締めの文章で相手へのサポートを示すような内容を添えることができれば、お互いの関係をより強固なものにできる上、文書全体の雰囲気も和らげられるでしょう。

以下のような締めの挨拶に『小職』を使用すれば、相手に寄り添いながらとても謙虚な印象を与えられます。

  • 小職も貴社のお役に立てるよう尽力してまいりますので、引き続きよろしくご協力を賜りたくお願いいたします。

「小職」の類似語

自分のことを示す表現としては、『小職』の他にもいくつかの言葉が存在します。主な類似語を挙げ、それぞれの特徴や間違いやすいポイントなどを解説します。

小生

『小生(しょうせい)』は、男性が自分のことをへりくだっていう言葉です。基本的には文書などで使用され、口語ではあまり使われません。

自分が上の立場であることを前提
とし、自分と同じような立場か目下の人に対して使用します。目上の人に対して使うと、失礼な印象を与える可能性があります。

役職や地位に関係なく、一般社員のような立場でも使える言葉だとされています。しかし、ビジネスシーンでは相手とどのような関係であっても失礼にあたるとのイメージが強いため、使用を控えたほうが無難です。

以下のように、ビジネスとは関係のないような文章で使うとよいでしょう。

  • 退職後は臨時職員として、小生も変わらず充実した毎日を過ごしております。
  • 小生が生まれた場所は、山奥の田舎町であります。

弊職

『弊職(へいしょく)』は、自分のことを指す一人称の謙譲表現です。

辞書などでも見つけることが難しい言葉で、自分が所属する会社の謙称である『弊社』の『弊』と『小職』の『職』をつなげた、ビジネス上の造語であるとされています。

役職や地位に関係なく使用できる言葉として、実際にビジネスの現場では比較的年配の人が使用しているケースがあるようです。

しかし、造語でもあることから世間に広く知られているとは言い難く、むやみに使うことで混乱を招く可能性もあります。意味を理解しておくだけに留めておきましょう。

当職

『当職(とうしょく)』は、弁護士をはじめとした士業に従事する人が自分のことを表す言葉です。士業以外の職業に就く人が使うことは間違いだとされています。

謙譲語ではないため、自分をへりくだる意味は含まれていません。また、どのような立場の相手に対しても使用できます。

当職という言葉は、士業従事者が一人称として使う以外にも、以下のように『この仕事』という意味で使われる場合があります。

  • 慢性的な人材不足が当職の課題です。
  • 当職の慣例では、現時点で報酬を頂くことになっております。

この場合は、弁護士などの士業に職業が限定されないため、職種に関係なく使用できます。

当方

『当方(とうほう)』は、自分側の組織をへりくだっていう言葉です。『私たち』『こちら』『私が属する会社』などと置き換えて考えれば分かりやすいでしょう。

他の類語と異なり、自分のことを表す一人称の言葉としては使用できない点が特徴といえます。また、役職や立場、相手との関係などにかかわらず、誰でも使用できる言葉です。

取引先から連絡をもらった際、会社の中で誰が担当者なのか分からない場合など、対応者が確定していないような状況で当方がよく使用されます。

  • ご質問いただいた件に関しましては、現在当方にて確認を急いでおります。
  • 当方よりご連絡いたしますので、もうしばらくお待ちください。

当方の対義語は『先方』です。取引先の会社などをアバウトに表現する言葉として、ビジネスシーンに広く定着しています。

下名

『下名(かめい)』は、一人称として自分のことを表現する言葉です。男女・職種・役職にかかわらず使用できるため、主にビジネスメールなどでよく見られます。

  • 先日発生した事案に関しましては、下名が責任を持って対応いたします。
  • 下名は明日の昼頃そちらに伺う予定です。

自分をへりくだり、相手に敬意を表す謙譲表現ですが、相手に対し堅苦しい印象を与えがちなことから、やみくもに使用することは控えたほうがよいでしょう。

仕事上のメールやレポートなど、文書で下名の記載を見つけた際に迷わないよう、意味を理解しておくだけに留めるのが賢明といえます。

「小職」を使う際の注意点

『小職』には使用にあたりいくつかのルールがあります。また、言葉が持つイメージを掴みつつ、使う際に気をつけるべきポイントを理解しておきましょう

一般社員や民間企業の使用は違和感も

『小職』は、もともと官職などの国家公務員が使い始めた言葉だとされていることもあり、役職者であっても民間企業で使われるのは違和感があるという意見も聞かれます。

また、使う相手が同等の立場か目下の人であるとしても、自分自身がそれなりの役職についていなければ、わざわざ『小職』を使って相手にへりくだる意味がないともいわれています。

民間企業で何らかの肩書きを与えられているとしても、課長クラス以下の場合や、他部署から転属してまだ日が浅いような場合は、周囲の反応を考慮し使用を控えたほうがよいでしょう。

管理職クラス以上の役職に就いている場合でも、若い社員が多い職場などでは、『小職』という表現がなじむ環境であるかを確認すべきです。

女性が使うのは問題なし

『小職』という表現は、高い地位の役職に就いている条件を満たしていれば、男女の区別に関係なく使用できます

ただし、意味や字面が似ている『小生』という表現が、男性の使用に限定される言葉であるため、『小職』を女性が使うことに違和感を覚える人もいるかもしれません。

また、地位が高い役職者であっても、若い人が使う場合は周囲への配慮が必要といえるでしょう。目下の相手でも自分より年上の人に対して使うと、「生意気だ」「偉そうに」などと思われてしまう場合もあります。

条件をクリアしていればよいという問題ではなく、職場の雰囲気や相手との関係性も考慮して使うようにしましょう。

目上の人や社外には使わない

『小職』は、自分と同じような立場や目下の人に対して使う言葉です。目上の人に使用することは失礼にあたります。

また、取引先や顧客も、自社との関係は目上にあたることが多いと考えられます。メールなどの文書で『小職』を使うのは控えたほうがよいでしょう。

社外に対し『小職』をむやみに使うと、相手の心象を悪くしてしまうと同時に、自社の品位を下げることにもなりかねません。

グループ企業間でのやり取りであれば、会社同士の関係性は対等であると考えることもできますが、実は100%子会社だったというようなケースもあります。使用は自社内に留めておくのが賢明です。

「小職」に似た英語表現はある?

英語の文書や英会話においても、相手によっては敬語を使いたくなる場合があるでしょう。『小職』の英語表現について解説します。

英語に謙譲語はない

自分をへりくだり相手を敬う気持ちは世界中の人が持ち得る感情だといえます。しかし言葉に関して言えば、日本ほど敬語表現が発達している国はないともいわれています。

世界共通語といわれている英語においても、日本の謙譲語や尊敬語のように、活用があったり分類されていたりというような、文法上確立された仕組みはありません。

例えば、日本語の『来る』を敬語で表現する場合は、尊敬語なら『いらっしゃる』『おいでになる』『見える』『お越しになる』、謙譲語なら『参る』『伺う』などがあります。

一方で、英語は『come』だけであり、単語自体が変化することはありません。しかし、英語を含むほぼ全ての言語で、謙譲や尊敬などの表現方法があることは理解しておきましょう。

一人称のIを使う

日本語で自分のことを示す一人称の言葉には、私・わたくし・僕・自分・小職・小生など多彩な表現があり、くだけた口語を含めればさらに数は増えます。

英語の場合、これらの表現は基本的に全て『I』に統一されます。謙譲語のような言葉がないため、『小職』に関しても『I』と表し、言葉が持つニュアンスは他の部分で表現しなければなりません。

例えば、「すぐに返事をください」を英文に直すと、以下のようになります。

  • Please reply immediately.

一方、「『小職』まですぐにお返事をいただけるとありがたいです」の英文は次の通りです。

  • I would appreciate your prompt reply.

このように、英語では言い回しを変化させることで、相手への敬意をより高められます

小職以外のビジネスに使える一人称・使えない一人称

自分のことを示す表現として、『小職』をはじめさまざまなものを紹介しましたが、ビジネスではどんな言葉がふさわしいのでしょうか。使えない表現もあわせて解説します。

わたし・わたくし

ビジネスシーンで自分のことを言う場合は、『私(わたし・わたくし)』を使うのが無難です。性別・職種・役職・相手との関係にかかわらず使用できる表現であり、目上の相手に対しても失礼にはあたりません。

文書なら漢字で『私』と書けばよく、会話ならわたし・わたくしのどちらでも意味は同じです。

ただし、女性が『わたし』と言う場合は、『あたし』に聞こえてしまうことがあります。くだけた印象を与えてしまう可能性があるため注意しましょう。

当方は一人称では使わない

自分のことを表す場合、間違えやすい言葉として当方が挙げられます。当方は自分が属している会社などの組織を指す言葉であり、一人称としては使えません。

また、当方と逆の意味を持つ先方も、相手が属している会社などの組織を表す言葉であり、相手個人のことを先方と呼ぶのは間違いです。

当方や先方は他の言葉で言い替えが難しい言葉である上、使用頻度も比較的高いため、ビジネスで使う際は十分に気をつけましょう。

僕や自分は不適切

男性の場合は、自分のことを『僕』や『自分』と表現することも可能ですが、ビジネスの場ではどちらもマナー違反とされています。

特に僕という言葉は、対等もしくは目下の相手に使う表現だとされているため、上司など立場が上の相手に使用することは失礼にあたります。

実際に、僕や自分の使用を禁止している会社があるほか、僕や自分を使用しただけで面接に落ちるケースもあるようです。

完全に間違った使い方ではありませんが、普段から僕や自分を使っている場合は、社会の風潮に合わせて私を使うように努力しましょう。

まとめ

『小職』とは、自分と同等か目下の相手に対し、自分をへりくだって言う謙譲語です。荷物を送ってほしいときや社内で連絡事項があるときなどに使われます。

使い方にはいくつかのルールがあるため、誤用に気をつける必要があります。類似語の選択も考慮しながら、状況に合わせた正しい表現を心掛けましょう。

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