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言葉の意味

「ご返答」は自分に使ってもOK。「ご回答」との違いや正しい使い方をチェック

2020/02/26

自分から返事をしたり、相手に返事を要求したりする場面は、ビジネスシーンでもしばしば発生します。そのようなときに使える言葉の一つが『ご返答』です。正しい使い方をマスターすれば、さまざまな場面で重宝するでしょう。

ご返答の意味って?

「答えを返す」と書く返答は、具体的にどのような意味なのでしょうか。『ご』をつけることによる変化と併せて解説します。

相手の問いに対して返事をすること

『返答』とは、 「問いに対して答えること」「相手の質問に対する返事」という意味の言葉です。

例えば「今日は何曜日ですか?」などと、文書や会話で何らかのアクションを受けた際、「火曜日です」のように答えることを指します。

自分の行動に対して使う場合は「手紙で返答する」「返答に窮する(困る)」のような使われ方をします。 「ノックをしても返答がない」「返答をお願いします」というように、相手の行動に対しても使える言葉です。

類語としては、『返事』『回答』『応答』などがあり、『解答』『反応』のような関連語もあります。

『ご』をつけることで丁寧に

敬意を示す意味で言葉の頭につける接頭語『ご』は、言葉を使用する人の意図や前後の文脈などにより、尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなり得ます。

尊敬語とは相手自身や相手の物・行動に敬意を表す言葉であり、謙譲語は自分自身や自分の行動を謙遜しへりくだることで敬意を表す言葉です。

返答という言葉は自分と相手のどちらが主体でも使えます。ご返答と言う場合の『ご』は、謙譲語としても尊敬語としても付け足せます。

また、「ご返答いたします」のように『ご~ます』の形にする場合は、聞き手に直接敬意を示す丁寧語の『ご』と解釈することも可能です。 尊敬・謙譲の『ご』と解釈するか、丁寧の『ご』と解釈するかは、返答を名詞として捉えるか、『返答する』という動詞として捉えるかで異なります。

ご返答の使い方

ご返答には大きく二つの使い方があります。場面ごとに正しく使い分けることを意識しましょう。

相手から返事がほしいときに

ビジネスシーンでは、目上の人や取引先などから何らかの返事を求めたい場面が多々発生しますよね。

しかし、相手に敬意を示すべき状況で「返事をください」などの軽い敬語表現を使ってしまうと、失礼な印象を与えかねません。 このような場合は、返事の代わりに尊敬語のご返答を使うことで、相手が自分に何らかの返事をする行為自体を、敬意のこもった表現にできます。

前後の文章にも敬語表現を織り交ぜれば、さらに敬意を高めた言い回しにすることが可能です。 相手に対し命令口調になりそうな場合は、 「恐れ入りますが」「申し訳ありませんが」などのクッション言葉をプラスすることで、より控えめな表現にできます。

自分が返事をするときに

相手から返事がほしいときだけでなく、自分が返事をする状況でも、ご返答が使えます。この場合は、自分の行為をへりくだる謙譲語として使用することになります。 相手からの返事をご返答という場合が多いため、自分の返事をご返答と表現することに違和感を覚えるかもしれません。

しかし、前述したように、ご返答はどちらでも使える言葉です。 尊敬語の場合と同じように、謙譲語として使う場合も、前後の文章に敬語表現を正しい文法で織り交ぜれば、相手に対してより敬意の高い文章に仕上げられます。

なお、言葉を丁寧にする場合には、『ご』以外に『お』も用いられますが、『お返答』とは言いません。基本的に、『ご』は漢語、『お』は和語につくとされています。

漢語とは、『連絡』『理解』など音読みの漢字で構成された熟語で、和語は『知らせ』『迎え』など訓読みの漢字、または訓読みする漢字をひらがなにした言葉です。『ご』と『お』を迷った際の判断に使えます。

ご返答の例文

さまざまな場面で使えるご返答の例文をいくつか紹介します。実践で役立てられるよう、しっかりとマスターしましょう。

ご返答ありがとうございます

こちらから返事を求めたことに対し、答えが返ってきた場合には、お礼の言葉を付け加えた表現で感謝の言葉を述べましょう。

ありがとうございますの一言だけでも十分ですが、先にご返答という言葉を使うことで、何に対してのお礼なのかがはっきりと分かります。より丁寧な言い回しになるのです。

以下例文のように使いましょう。言葉を追加してさらに丁寧な表現にもできます。

▼使い方の例

・ご依頼いたししました件に関しまして、早々のご返答ありがとうございます。

・このたびはお忙しい中ご返答いただき誠にありがとうございます。

ありがとうございますを、「感謝いたします」「感謝申し上げます」に言い換えてもよいでしょう。

ご返答の程よろしくお願いいたします

相手からの返事を求める際に利用できる表現です。「返事をもらいたい」という気持ちを丁寧に伝えられます。 「ご返答お願いします」という表現に、いくつかの敬語が付け足されているため、とても敬意のこもった言い回しとなっています。

以下のように、クッション言葉を使えば、依頼のニュアンスをより和らげられるでしょう。

▼使い方の例

・アンケートをメールにて送信いたしました。ご多忙の折大変恐縮ですが、ご返答の程よろしくお願いいたします。

・在庫の有無に関しましては、お手数をおかけいたしますが、ご返答の程よろしくお願い申し上げます。

ご返答お待ちしております

時間的に余裕があり、相手からの返答を急いでいるわけではないような場合に使える表現です。

『待つ』という言葉を使用することで、相手に精神的な余裕を持ってもらえます。

次のように使いましょう。

▼使い方の例

・年末のお忙しい時期に恐れ入りますが、下記詳細をご確認の上、ご出欠のご返答お待ちしております。

差し迫ったニュアンスをさらに軽減する言い回しとして、「ご返答いただければ幸いです」という言い方もできます。

「返事をもらえるとありがたい」という意味になり、急いでいないどころか返事がなくても構わないという意味にもとれますが、受けたほうは返事を返すのがマナーとされています。

ご返答いたします

自分自身が相手に返事をする際、謙譲表現として使う言い回しです。ビジネスシーンでは、問い合わせに対し回答するような場面でよく使われます。

以下例文のように使用しましょう。

▼使い方の例

・ご質問いただいた件に関しましては、詳細が確認でき次第ご返答いたします。ご迷惑をおかけしますが、もうしばらくお待ちくださいませ。

・会議の中で出された疑問点をまとめていただきたいとのお申し付けがありましたので、本メールに添付いたしました資料のとおり、ご返答いたします。

ご返答させていただきます

『~させていただきます』は、二重敬語であり正しい敬語ではないという意見もありますが、一般的には正しい敬語であるとされ、丁寧な言い回しとして広く使われています。

自分をへりくだる謙譲表現であるため、やや強制的なニュアンスを含むご返答いたしますに比べ、より敬意の強い丁寧な表現として使用できます。

以下例文のように、ご返答いたしますと同じような使い方ができる言い回しです。

▼使い方の例

・お問い合わせをいただきました件につきましては、次のとおりご返答させていただきます。

・皆様からお寄せいただいた質問に関しまして、回答がまとまり次第あらためてご返答いたします。

ご返答の言い換え表現や類語

以下に挙げる言葉は、ご返答に似た表現です。意味の微妙な違いや使い分けについて確認しましょう。

ご回答

回答は、「~を迫る」「~を求める」のように、形式ばった返事を強要するようなイメージを持つ言葉です。

以下のように、アンケートや問い合わせなどの返事でよく使用されます。

▼使い方の例

・研修会へのご参加ありがとうございました。よろしければ、皆様にお配りしたアンケートへのご回答もお願いいたします。

・その件に関しましては、○○様から直接ご回答をいただいております。

・これまでにいただいたお問い合わせには、全て個別にご回答いたします。

お返事・ご返事

返答と返事は、どちらもほとんど同じ意味です。問いに対する答えという意味に加え、手紙やメールの返事自体を指すこともあります。

返事を敬語にする場合は、前に述べたように和語と漢語でつけるべき接頭語が異なるため、『ご返事』が正解です。ビジネスシーンではご返事を使うのが望ましいといえます。

これまで紹介してきた例文内のご返答と置き換える際にも、敬語の間違いが許されないようなシーンでは、「ご返事お待ちしております」のような使い方が適しています。

しかし、世間に広く浸透しているのは『お返事』のほうであり、お返事のほうがしっくりくるような場面も多いため、相手の立場や状況に合わせて使い分けるようにしましょう。

まとめ

ご返答は、返事をすることを丁寧に表現した言葉です。相手から返事がほしいときと自分から返事をするときの両方で使えます。

例文を参考にしながら、相手や状況に応じた使い分けができれば、より豊かな表現力が身につくでしょう。

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