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「参ります」と「伺います」の違いは?正しい意味・用法や類語を紹介
言葉の意味

「参ります」と「伺います」の違いは?正しい意味・用法や類語を紹介

2021/07/02

「参ります」の意味や正しい用法を解説。 「参ります」はビジネスのさまざまな場面で使われる言葉ですが、正確な意味が分からないまま、なんとなく使っている人も多いはず。今回は、そんな「参ります」の正しい使い方を分かりやすく解説していきます。また、「伺います」との違いやビジネスシーンで使える例文も紹介。使い方をマスターして、正しい日本語を理解しましょう。

「参ります」の意味とは

参るという言葉はさまざまな意味を持っています。

いずれもなじみのあるものばかりですが、あらためて一つずつ確認しておきましょう。

行くの謙譲語

参りますは、『行く』の謙譲語『参る』と丁寧語『ます』を組み合わせた言葉です。ある場所へ自分が移動するという行為を、へりくだって表現した言い回しになります。

自分だけでなく、同じ会社にいる人や家族の行動に対しても使えます。謙譲表現であるため 「○○様が明日参られます」のように、相手の行動に対して使うのは間違いです。

場所を移動する意味の行く以外に、「これから行い進める」という意味の『~していきます』も、『~して参ります』の謙譲表現にできます。

「頑張っていきます」「注意していきます」など、これから動作を始めるという意味や継続するという意味を含んだ表現です。

降参や困惑という意味も

将棋や囲碁では、投了する意思を相手に伝える際「参りました」という言葉が使われます。柔道にも、技をかけられているほうが負けを認める「参った」という合図があります。

この場合の参るは 『降参する』『負ける』という意味の謙譲語です。参りましたのほうは、参ったをより丁寧な表現で示した形となっています。

『困惑している』『困っている』という気持ちを表す場合にも、参るが使われます。 「突然の雨で参っています」「何度も時計が故障して参ってしまいます」のように、進行形や状態を表す活用形で用いられるのが一般的です。

体調が優れないときにも「暑さで参ってしまった」「精神的に参っている」など、困惑しているという意味の参ると同じような形でよく使われます。

「参ります」の正しい用法

間違った認識で敬語を使ってしまうと、相手に失礼な印象を与えます。

参りますを使える場面を正しく理解しましょう。

漢字と平仮名の使い分け

『~して参ります』のような補助動詞として参りますを使う場合は、以下例文のように『まいります』と平仮名表記にできます。

▼使い方の例

・今日は自転車が壊れたので、家から歩いてまいりました。

補助動詞は他の動詞とセットで使うものであるため、別の動詞が直前にある場合は平仮名表記できると覚えておきましょう。 補助動詞以外の意味を持つ参るは、漢字表記のほうがよいとされています。

必ず使い分けをしなければならないわけではありませんが、マナーに厳しい場面では指摘される可能性もあります。日頃から違いを意識しておくとよいでしょう。

漢字と平仮名の使い分けで迷いがちな敬語には、他にも『頂く』『致す』などがあります。

自分の行動に対して使う

参りますは、自分が起こす行動に対して使う謙譲語です。自分だけでなく、会社の人間や身内など、自分側として捉えられる人の行動に対しても使えます。

謙譲語とは、行動する主体をへりくだって相手を立てる言葉です。したがって、相手の行動に対して使うと自分を立てることになり、結果として相手を見下すことになってしまいます。

例えば、取引先に対して「○○様は何時頃こちらに参りますか?」のようには使えません。参るを単純に『行く・来る』の敬語としか認識していない場合に、よく起こる間違いです。

相手がこちらに来ることを表現する場合は、「お見えになる」「いらっしゃる」「おいでになる」などを使うとよいでしょう。

目上の人に対して

基本的に、敬語は目上の人に対して使う言葉です。行くという意味の参りますは謙譲語であるため、上司や取引先など立場が上の相手に使います。

逆に、同僚や部下に対して使うと、相手に違和感を与えることになるでしょう。気を遣う必要のない相手には、「行きます」などの丁寧表現で十分です。

『降参する』『困惑する』『肉体・精神が弱っている』の意味を持つ参るは、目上の人以外にも使用できる言葉です。

「最近、失敗ばかりで参ってるよ」「これだけ暑さが続くと参っちゃうね」のように、敬意を含まない動詞として、参るという表現をそのまま使用できます。

「参ります」の例文

参りますを使用した例文をいくつか紹介します。動詞として2パターンの使い方ができることを意識しましょう。

そちらへ参ります

取引先の会社や目上の人との待ち合わせ場所などへ、自分や自分側の人間が行くというケースは、ビジネスにおいて多々発生するでしょう。

相手がいる場所に向かうことをメールなどで伝える際には、以下のような表現が使えます。

▼使い方の例

・明日の会議には、○○の代わりに私がそちらへ参ります。何卒よろしくお願い申し上げます。

・システムの不具合が長引いており、誠に申し訳ございません。本日午後に担当がそちらへ参りますので、今しばらくお待ちくださいませ。

「そちらへ参らさせていただきます」などと、不適切な敬語表現で無理に敬意を強めようとはしないようにしましょう。

取り組んでまいります

補助動詞として直前の動詞にまいりますが続く形としては、次の例文のような表現があります。

▼使い方の例

・今からこのファイルを社長に渡してまいります。

・誰がチャイムを押したのか、私が確認してまいります。

直前の動詞を敬語にしてしまうと、二重敬語となるため注意しましょう。 決意表明をするような場面でも、下記例文のような形で使われます。

▼使い方の例

・本年もより一層のサービス向上を目指し、社員一同全力で取り組んでまいります。

・今回のトラブルに関しましてお詫び申し上げますとともに、二度とこのようなことを起こさないよう再発防止に努めてまいります。

「参ります」と「伺います」の違いは?

参りますと迷いやすい言葉に、『伺います(うかがいます)』という敬語があります。意味や使い分けをしっかりと理解しましょう。

行く・聞くの謙譲語

『伺う』は、自分が相手を訪問したり、相手に何かを尋ねたりするときに、自分をへりくだって言う謙譲語です。

参りますが行き先に相手がいなくても使えるのに対し、伺いますは行き先に敬意を払う相手がいなければ使えません。

以下、二つの例文で違いを確認しましょう。

▼使い方の例

・休暇を利用して北海道に参ります。

あくまでも場所を訪れるだけのパターンです。

北海道に行くことを伝えている相手と現地で会うわけではないため、伺いますは使えません。

▼使い方の例

・私はこれから、クレーム対応のため直接お客様のもとへ参ります。

参りますという言葉で敬意を払いたい相手は、お客さまではなくこの文章を話している相手です。行き先に敬意を払う相手がいるわけではないため、伺いますは使えません。

つまり、行くことを伝える相手と行き先にいる相手が一致している場合のみ、伺いますが使えるということになります。

目上の人に対して使う

伺うは謙譲語であり、自分より目上の相手に使う言葉です。行き先が取引先だったり、行き先に目上の人がいたりする場合に使えます。

参りますと伺いますの違いは前述した通りですが、実際には参りますが使える大半のケースで、伺いますと置き換えることが可能です。 どちらも目上の人に対して使う言葉という点では同じであり、伺いますに比べ、参りますのほうがやや敬意を強めた表現となっています。

したがって、参りますが丁重すぎると感じるような状況では、伺いますを使うことで、かしこまりすぎず柔らかな印象を与えられるでしょう。

伺いますの例文

伺いますの意味は、「行く・聞く」の二つに大別できます。次の例文では、「尋ねる・訪問する」という意味で使われています。

▼使い方の例

・それでは本日お昼過ぎにそちらへお伺いします。

・明日の取材に関しまして、弊社スタッフ3名でお伺いします。

以下は、「尋ねる・伝え聞く」という意味で使われている例文です。

▼使い方の例

・ミーティングに関する疑問点を、○○様にお伺いしたいと考えております。

・日頃より、先生がご活躍されているお噂はよく伺っております。

まとめ

参りますは、動詞『行く』や補助動詞『~していく』の謙譲語です。「降参する・困っている」という意味もあります。

同じような意味の伺いますと迷いやすい言葉であるため、それぞれの使い方を理解し、状況や相手に合わせて正しく使えるようになりましょう。

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