恋しい・人恋しいの違い
寂しい気持ちになった時には、何となく恋しい・人恋しいという言葉が頭をよぎるのではないでしょうか。
誰もが持つ身近な気持ちだからこそ「恋しい・人恋しい」という言葉そのものの意味について、きちんと考えたことは少ないのではないでしょうか?
それぞれどんな時に使い、どういった使い分けをするのかをまとめました。
恋しいの意味は?
恋しいとは、人以外にさまざまなものが対象になる言葉です。
生まれ育った土地を離れて過ごしている人は「故郷が恋しい」と感じる人がいるでしょう。若い頃を思い出し、当時を懐かしむような時には「青春時代が恋しい」というような使い方もできます。
何かに対して、強く心惹かれている様子を指します。恋しく思う相手は、今の自分か一般的には離れた場所にあったり、手が届かないところにあったりする状態です。
人恋しいの意味は?
人恋しいという言葉は、文字の通り、対象が人である場合のみに使います。
新天地に引っ越して、人との交流が少ない状態が続いたら「人恋しくなって外出したくなる」などということもよくあるでしょう。
クリスマスや誕生日など、誰かと一緒に過ごすことが多い日にたまたま1人だったら「人恋しくなって友人を遊びに誘う」ということもあるかもしれません。
特定の人を指すのではなく、人との交流そのものを求めている状態です。なんとなく寂しくて、1人で過ごすのが嫌だというときによく使われます。
人は、他の人間とコミュニケーションをとりながら生きていくことを当たり前としています。そのため、交流が乏しくなると無意識に人と接することを求めるようになるのです。
恋しいと感じる瞬間
恋しいと感じる瞬間には、どんなケースが多いのでしょうか。特に、人に対して恋しさを募らせる場合についてチェックしてみましょう。
恋しさを感じることが多い状況を4パターン紹介します。自分が今恋しさを感じているという人は、共感できるかもしれません。
体が弱っているとき
ケガや病気になってしまった時に、人を恋しいと思った体験を持つ人も多いのではないでしょうか。看病してくれる人がおらず、1人きりで夜過ごしている時など、無性に寂しくなるものです。
体が弱っていて心細く、誰かに頼って甘えたいのに、1人で過ごさなければならないという状況で、人への恋しさが生まれます。
イベント事の予定がないとき
イベント事は、たいてい誰かと一緒に過ごす予定を立てる人が多いですね。クリスマスやお正月など、多くの人が恋人や家族、友人たちと予定を立て、遊びに行ったり家でパーティーをしたりしている一方、自分は1人で孤独に過ごしている…。そんなときには、無性に人が恋しくなるのではないでしょうか。
世の中や周囲の人たちが誰かと楽しく過ごしている様子と、自分の今の状況を比較して余計に落ち込んでしまうのです。
とくに、イベントの集中している冬の時期は人恋しさを強く感じやすいでしょう。クリスマス、お正月、バレンタインなど、大型のイベントが集中しています。さらに寒さも相まって、1人で過ごすのが身も心も寂しい…そんな気持ちになりやすい時期です。
落ち込んでいるとき
落ち込んでいる時には、誰かにそばにいて励まして欲しい、と誰もが思うものです。
大切な人と別れることになったり、仕事が上手くいかずに上司からさんざん叱られてしまったりしたときには、誰かに話を聞いてほしい、気持ちに寄り添って欲しいという思いが強くなります。
自分1人だけで悲しく寂しい気持ちに向き合わなければならない時、人が恋しいと思うのです。
とくに今までは恋人や友人、家族など、落ち込んだ時に寄り添ってくれる相手がいた人は、急にそうした人物がいなくなると、強い寂しさを感じるようになります。
部屋に1人のとき
部屋に1人ぼっちのときには、無性に人が恋しくなるものです。とくに、仕事が終わってクタクタの状態の時や、友人と思いっきり騒いだ飲み会の後、しんと静まり返った部屋に帰って、なんだかとても寂しくなった…そんな経験をした人もいるでしょう。
直前までだれかと楽しく過ごしていた、という場合は、帰った時の静けさと孤独感の落差が大きくなります。ついつい恋人や友人に電話をかけて、寂しさを紛らわせてしまう、という人も多いようです。
恋しい・寂しいと感じる意外な理由
恋しい・寂しいと感じる時には、一見感情だけが関係しているように思えるかもしれません。
しかし実は、生物学的にも恋しさ・寂しさを感じさせる理由があるのです。どんな条件下で人は恋しさ・寂しさを感じやすくなるのか、チェックしてみましょう。
特定の季節・天気の時にはなんとなく寂しさが募る、という人は、ぜひ参考にしてください。
日照時間の変化による影響
季節の移り変わりによる、日照時間の変化が人の感情にも影響を与えることがあります。
日光を浴びると、人間の体内ではセロトニンという神経伝達物質が生成されますが、これが人の精神の安定に大きく影響するのです。
セロトニンの分泌が正常だと、自律神経が整い、前向きな気持ちになれます。そのため、日光を長時間浴びることができる春から夏にかけての季節は、気持ちが安定し、ポジティブで元気な状態になりやすいのです。
一方で秋から冬にかけては日照時間が短くなり、セロトニンが減少するため、心のバランスが崩れます。ネガティブになったり、不安を感じることが多くなったりして、人恋しさに繋がるのです。
恋しいという気持ちをなぜ感じるのか
恋しいという気持ちの正体について、何となくつかめてきたのではないでしょうか。
しかし、そもそも人はなぜ恋しいという気持ちを感じるのか、感情が発生する原点について知っておくべきでしょう。
根本的な原因を知っておくことで、恋しいと感じた時の気持ちの整理も付きやすくなります。
存在価値を確かめるため
人間は社会性を持つ生き物です。自分1人で生きているわけではなく、大なり小なり何らかのコミュニティに属して生活しています。
コミュニティ内の他の人や、外部のコミュニティの人と交流することで、自分が何者か、どんな役割を担っているのかという存在意義を見出せるのです。
人と接する機会が少なると、自分がなぜここに存在しているのか、そもそも自分の存在価値はここにあるのか、という疑問が無意識のうちに生まれます。そうした疑問はいつしか不安やストレスに変化するのです。
不安やストレスを解消するためには、人と接するのが一番です。これが、人恋しさを感じる理由といえます。
人との接点がないと寂しく感じる
社会性を持つ人間にとっては、人と接することは当たり前のことであり、必要不可欠です。 生まれた時には親がいて、子どもの頃には学校でクラスメイトや先生と過ごし、社会に出れば世の中のさまざまな人と交流をすることになります。
その当たり前の行為の頻度が徐々に落ちてくると、物足りなさや不安に繋がります。
もっと人と会話したい、一緒に過ごす時間を確保したいという気持ちが自然と募り、恋しさ・寂しさを感じさせるのです。
恋しいと感じたときの対処法
恋しいと思った時には、どのように対処すればよいのでしょうか。最も有効なのは人と会うことですが、会いたいと思うときにすぐに会えない、ということもあるでしょう。
おすすめの対処法を大きく5つに分けて紹介します。
友人をたくさん作る
恋しいと思った時には、気持ちのままに素直に人に会えばすぐに不安が解消され、ストレスもたまりません。
しかし、誘ってもなかなかタイミングが合わなかったり、相手が忙しい人で滅多に会えなかったりということもあるはずです。
そこで、友人をたくさん作ることをおすすめします。特定の人と狭く深く付き合うのも良いですが、友人が多ければ多いほど、交友関係が広がり、恋しさや寂しさを感じる頻度は減るはずです。
また、友人が多ければ会いたいときに誰かには会える、という状況を作り出すことができます。
ジョギングなどの運動をする
生物学的に見ても、ジョギングなどの運動は精神面の安定に効果的です。気持ちを前向きにしてくれるセロトニンは、運動することでも分泌されます。
特に運動の中でも、ジョギングやウォーキングなど、テンポよく同じリズムを繰り返す運動はおすすめです。15~30分の運動で充分効果が期待できます。
アルコールを飲む
アルコールには、人の体内に働きかけ、気持ちを高揚させる効果のあるドーパミンという物質を分泌させます。
人恋しい時には、適度な量のお酒を楽しむことで、気分を軽くすることができるでしょう。ただし、過剰なアルコールの摂り過ぎは肝臓や脳への負担が懸念されます。寂しいからといって、飲みすぎは禁物です。
音楽などの趣味を楽しむ
1人でも集中して楽しむことができる趣味を見つけ、人恋しさを紛らわせることができます。
読書や映画など、自分の世界に集中できるものがおすすめです。中でも音楽は、脳を活性化させ心のバランスを保つ働きが期待できます。
思考や会話に使われる「新脳」と、食欲や感情などの身体の調子を保つのに使われる「旧脳」の両方に働きかけ、寂しい気持ちをポジティブな気持ちに切り替えてくれるといわれています。
眠ることも有効
運動やアルコールが苦手で、趣味も今は持っていない、という人でも必ずできる対処法があります。
恋しさが募るのは、脳を思考させ続けているからです。いっそのこと、眠ってしまうことで思考を休め、恋しい気持ちをリセットしてしまうのはいかがでしょうか。
眠っている間は恋しさに悩まされることはないうえ、しっかり睡眠をとることで脳を休め、精神を安定させることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。恋しいと思う気持ちの原因と、恋しさを感じやすいシチュエーションを知ることで、自分の気持ちに正しく向き合うことができます。
今孤独を感じ、人恋しさで切ない気持ちを抱えている人は、紹介した対処法で少しでも穏やかな気持ちを取り戻しましょう。