幸せ恐怖症の意味とチェック方法
「もしかして、自分は幸せ恐怖症なのでは?」そんなふうに感じている人もいるのではないでしょうか。
まずは、幸せ恐怖症の症状を知り、特徴が自分に当てはまるのかをチェックしていきましょう。
幸せ恐怖症とは
幸せ恐怖症とは、幸せになることに対して強い恐怖や抵抗を感じる心理を言います。
幸せ恐怖症の人は、恋愛や仕事上の成功など、本来なら喜ぶべき状況をみずから手放そうとしてしまう特徴があります。
これは、はたから見ると意味不明な行動に思われるでしょう。
しかし、幸せ恐怖症人の場合、当の本人ですらなぜそんな気持ちになるのか理解できていない場合がほとんどです。
表面上は幸せを望みながらも、潜在意識ではそれを恐れている…そんな複雑な心理状態にあるのが幸せ恐怖症の人なのです。
自分でチェックする方法
自分が幸せ恐怖症かどうかを確認したい。そんなときは、以下のチェック項目に自分がどれだけ当てはまるかを確認してみましょう。
・自分には価値がないと感じる
・幸せはすぐに去っていくものだと感じる
・自己肯定感が低い
・マイナス思考
・自分が幸せになれるはずがないと感じる
・自分が嫌い
・忘れられない苦しい過去がある
・自分を醜いと感じる
当てはまる項目が多ければ多いほど、幸せ恐怖症の可能性が高いといえるでしょう。
幸せ恐怖症の特徴
では、どんな特徴を持った人が幸せ恐怖症になりやすいのでしょうか? その特徴を三つ紹介します。
幸せに対するネガティブ思考
幸せ恐怖症の特徴の一つに「幸せに対するネガティブ思考」があります。
その深層心理には、「幸せはすぐに失われるもの」「幸せは自分には不似合いなもの」という強い思いがあります。
たとえ表面上は幸せを望んでいたとしても、実際のところは「手に入るはずがない」と確信しているのです。
そんなネガティブな思いが煮詰まった結果、「つらい思いをするくらいなら、幸せなんてはじめから手に入らないままのほうがいい」という思考に至ってしまったのがこの幸せ恐怖症なのです。
幸せへの罪悪感
幸せ恐怖症の人は、幸せになることに対して強い罪悪感を抱いています。
その多くが家庭環境になんらかの問題を抱えており、なかでも母親との関係が複雑という人が多いでしょう。
たとえば、育った家庭に暴力やモラハラが蔓延していた女性は、そうでない女性にくらべ幸せ恐怖症になる可能性が高いといえます。
というのも、こうしたタイプの女性というのは、自覚のあるなしにかかわらず「お母さんよりも幸せになってはいけない」と感じていることが多いからです。
不幸な母親よりも自分が幸せになるなんていう親不孝は許されない、そう無意識に思ってしまうのでしょう。
幸せになることに罪悪感を抱いている以上、幸せを受け入れることはできません。自然と幸せから遠ざかる道を歩むことになるのです。
自分から幸せを遠ざける
無意識のうちに自分から幸せを遠ざけるのも幸せ恐怖症の特徴です。具体的には、以下のような行動をとりがちでしょう。
・以前から好きだった人から交際を申し込まれたのに、なぜだか断ってしまう
・第一志望の学校に合格する学力が充分あるにもかかわらず、あえてほかの学校を選んでしまう
・大切な友達に対して、嘘をついたり裏切ったりと、わざと嫌われるような行動をしてしまう
・大好きで関係もうまくいっている彼氏がいるにもかかわらず浮気をしてしまう
このように、幸せ恐怖症の人は自分の幸せをみずからの手で壊そうとしてしますのです。
幸せ恐怖症の原因と心理
人が幸せ恐怖症になるとき、そこにはどんな原因や心理が秘められているのでしょうか。一つずつ見ていきましょう。
家庭環境
人が幸せ恐怖症になるうえで、家庭環境が及ぼす影響は小さくありません。
たとえば、ひどく支配的な親や、反対にネグレクトのような親のもとで育った人は、幸せ恐怖症になりやすい傾向があります。
これは、自我が形成される過程で常に否定され、あるいは放置されることによって、適切な自己肯定感を育めなかったことに大きな原因があります。
自分自身のことを価値ある存在と思えないので、いざ幸せを手にできるという場面で居心地の悪さを感じてしまうのでしょう。結果として、幸せから逃げ続けることになるのです。
自分に自信がない
自分に自信がないというのも、幸せ恐怖症の原因になります。
これは、「こんなにダメな私に幸せはふさわしくない」という無意識の思いゆえといえるでしょう。
次にあげるようなコンプレックスが多い場合、幸せ恐怖症になる可能性が高いと考えられます。
・顔がかわいくない
・スタイルが悪い
・勉強が苦手
・恋愛経験が少ない
・友達が少ない
こうしたコンプレックスは、あくまでも『自分から見て』が基準です。
たとえ他人の目には絶世の美人に見えていたとしても、自分では醜いとしか感じられないのであれば、それは立派な幸せ恐怖症の原因となるのです。
環境の変化に強い不安を覚える
環境の変化が苦手で、強い不安を覚えやすいのも幸せ恐怖症の原因といえるでしょう。
こうしたタイプの人は、新しい環境に飛び込むことが苦手なため、できるだけ同じ場所に留まろうとします。
たとえ目の前に夢のようなビッグチャンスが訪れたとしても、それを手にする喜び以上に変化を恐れてしまい、肝心の一歩を踏み出すことができません。
また、幸せ恐怖症の人は自信のなさも人一倍なため、新しい環境で幸せを手に入れるイメージよりも、失敗して後悔しているイメージばかりが湧いてしまいがちです。
そのため安定を重視し、不安になるようなリスクは極力避けてしまうのも幸せ恐怖症の大きな特徴といえるでしょう。
幸せ恐怖症を克服する方法3つ
では、幸せ恐怖症を克服するにはいったいどうしたらよいのでしょうか。おすすめの方法を三つ紹介します。
自己肯定感を高めよう
幸せ恐怖症を克服するには、まず自己肯定感を高める必要があります。
自分で自分の価値を認め、幸せを手に入れるにふさわしい人間だと認めることができれば、自然と幸せに対するネガティブな感情も失われてゆくでしょう。
具体的な方法としては、気持ちのままに行動するのがおすすめです。食べたいもの・身につけたいもの・学んでみたいもの、すべて挑戦してみましょう。
生きている喜びを五感で味わうなかで、見えてくる幸せがあるはずです。
感謝の気持ちを口にする
何事にも感謝して、その気持ちを口にすることも幸せ恐怖症を改善するのに効果的な方法です。
感謝の言葉には、言った人と言われた人両方を幸せにする力があります。日々の暮らしのなかでささやかな喜びを見つけ、それを感謝の言葉として表現することで、与え・与えられるという人間関係における基本的な幸せを改めて実感できるでしょう。
「ありがとう」と1回口にするたび、幸せ恐怖症は影を潜めてゆくのです。
何でもポジティブに
幸せ恐怖症の人は、基本的に自己を否定してしまうネガティブな思考があります。だからこそ、ポジティブさが幸せ恐怖症を撃退するための鍵になってくるのです。
ポジティブな視点を持つと、世界がとても明るく、優しいものであふれていることに気付くでしょう。
実は、それこそが世界の本当の姿です。本来幸せは決して怖いものではなく、安心して受け取ってよいものだということを知りましょう。
それを実感できさえすれば、そのときにはすでに幸せ恐怖症は跡形もなく消え去っているはずです。
まとめ
誰もが願ってやまないはずの幸せを、自分自身の手で遠ざけてしまう…それが『幸せ恐怖症』です。
幸せ恐怖症の原因には、家庭環境や自信のなさなどがあります。「自分には幸せになる価値がない」「自分に幸せは似合わない」といった自己肯定感の低さがその根本的な要因といえるでしょう。
とはいえ、せっかくの幸せならば、正面からしっかりと受け止めたいものです。
自己肯定感を高めることをはじめ、感謝の言葉を口にする・何でもポジティブに捉えるなどの簡単なトレーニングに挑戦し、幸せ恐怖症を克服しましょう。
その後には、きっとこれまで想像したこともなかったような素晴らしい未来が待っているはずです。