子どもを産みたいなら、35歳までに妊活を!
医療も進歩しているし、50代で出産する海外セレブなどもいるが……?
「30歳以降女性が妊娠する確率は少しずつ低下しますが、特に35歳を過ぎると確率は急激に低下し、妊娠に不利になっていきます。原因はもちろん老化。
身体が老化するということは、子宮や卵巣もしかり。機能が低下し、受精・着床しにくくなったり妊娠を維持できなくなるのです。だからと言って、35歳ギリギリで妊活をすれば万全、と考えるのはおすすめできません。
もともと妊娠しづらい体質の人は、できる限り早くから妊活をし、必要であれば不妊治療に踏み切る必要があります。結婚していて、子どもを産みたい!という意思が固まっているならば、早めに妊活するに越したことはありません」
不妊症!と焦る前に、まずは自分で妊活を行って。
「不妊症にまつわるニュースの増加に伴い、不妊症の間違った認識が広まってしまっているように感じます。不妊を恐れて早くに妊活を始めるのは良いことですが、2〜3回試しただけで“不妊症なのでは?”と診察を求める患者さんが急増しているという現実も。
そもそも、もっとも妊娠に適した20代の健康的な身体でも、1度の性交渉で妊娠する確率は15〜20%程度とも言われます。つまり5回に1度の確率。
ただ、不妊症を不安に思い続けているとストレスになるため、なるべく気にしないように。年齢やもともと婦人科の持病があるかなど個人差がありますが、20代~30代前半で健康な女性であれば、不妊症を疑って診察を受ける前に、まずは半年くらいは自分で妊活を行ってみてもよいでしょう。」
不妊症を防ぐための対策法は、ありません!
「なぜなら、不妊症の原因の多くは解明されていないから。強いて言うならば、健康的な身体を維持することです。
肥満や痩せすぎは不妊の原因のひとつと言われているため、不摂生をしない、定期的に運動をする、バランスの良い食事を摂る、など、正しい生活習慣を心がけましょう。
またクラミジアやヘルペスなどの性感染症に感染していると、妊娠の妨げになることも。性感染症のほとんどは症状が出ないため、定期的に検診を行うことをおすすめします」
不妊治療は、貯蓄にも心にも大打撃ということを忘れずに。
「不妊治療には、大きく分けて3つのステップがあります。基本は以下のステップ1から3の順序で行いますが、40代での妊活や、排卵そのものに異常がある場合などは、①を飛ばすケースも。価格は病院によって変動しますが、だいたいの目安がこちらです。
▶︎ステップ1:排卵誘発剤の投与
価格:数千円〜2万円/月(保険適用内)
(※実施期間はそれぞれの担当医が決めるので目安はありません。個人で大きく異なります)
▶︎ステップ2:排卵誘発剤の投与+人工授精
価格(人工授精のみ):2〜4万円/1回(保険適用外)
▶︎ステップ3:排卵誘発剤の投与+体外受精
価格(体外受精のみ):30〜40万円/1回(保険適用外)
「体外受精の場合は確率を上げるため、一度に複数の卵子を取って受精卵を作るケースも多いです。次の周期以降で使う予定の受精卵は凍結して保存できますが、凍結保存は受精卵の個数で値段が変わり、個数が多いほど保存費用も高くなります」
次回vol.2では、不妊を防ぐためのヒントとなるPMSや、卵子を保存できると噂の低容量ピル、高齢出産のリスクを解説します。
PROFILE:丸田佳奈
日本産科婦人科学会専門医。学生時代にダイエットが原因で生理不順に。治療のため産婦人科に通院した経験から、産婦人科医を志す。情報番組からバラエティ番組、雑誌など、様々な媒体で活躍中。著書に『間違いだらけの産活』(学研パブリッシング)、『キレイの秘訣は女性ホルモン-女医・丸田佳奈が答える47の悩み相談』(小学館)などが。
Illustration:Youmi Chen Photo : Yuki Kato Editor:Ayano Nakanishi