
SEXで感染する病気があることを知っていますか?今さら聞けない「性病」を徹底アラート
将来不妊の原因となりうる病気、性感染症(=STI)。性感染症の多くは無症状のことが多く、知らず知らずに感染し進行してしまうことも珍しくない。
では、STIを防ぐためには、どうしたらいいのか? 日本産科婦人科学会専門医の丸田佳奈先生に話を聞いた。
ピルでは性病は防げない!
「性感染症は、かかっても自分ではなかなか気がつきにくいため予防が最も大切になります。感染防止にはコンドームが有効です。避妊方法として経口避妊薬(通称ピル)を選択している人も少なくないと思いますが、ピルは性感染症を予防するものではありません。避妊をしていない人はもちろん、ピルだけの避妊方法をとっている人も性感染症の危険性が高いと言えます」
性病としてよく知られているのは、クラミジア、淋菌、トリコモナス、梅毒など。
「ほとんどの性感染症は感染初期には自覚症状がないので、自分では感染していることに気がつきません。気がつかないまま複数のパートナーと性交渉を持ち、無意識のうちに感染を広めていることがあります。また、性交渉の相手が特定の一人であっても、過去から自覚症状なくずっと感染し続けていることもあります。感染に気がつきにくいからこそ、予防が第一なのです」
また、パートナーが変わるたびに新たな感染の可能性があると考えた方がよい。
「性交渉があれば感染の可能性はあります。自分とパートナーの健康を第一に考えるならば、コンドームを使った“セーフセックス”を続けるのが賢明です」
性病で将来不妊に!?
「性感染症の中には将来の不妊の原因になるものもあります。クラミジアは性病の中でも患者数は最多で、不妊の原因として有名な感染症です。感染すると自覚症状なく進行し、卵管炎や骨盤腹膜炎を起こし、将来的に不妊や子宮外妊娠、流早産の原因になります。淋菌はクラミジアと同時感染していることが多く、これも不妊の原因になります。性感染症によって卵管炎や骨盤腹膜炎を起こし、一度不妊になってしまったものを、完全に元に戻すことはなかなか難しいです。現代では性感染症は薬で治る病気ですが、『かかっても薬で治るから大丈夫』と言えない理由はここにもあるのです」
注意! 進行すると死の可能性もある、梅毒が再び大流行中
梅毒は、かつて江戸時代に大流行した性感染症のひとつ。死に至ることもあるため、非常に恐れられていた病気だったものの、1940年代にペニシリンが開発されると患者数は激減。しかし、近年、急激に流行しているという。
「原因として考えられるのは、梅毒患者が激減して長い年月が経ったことで、患者も医者も梅毒に対して意識が低下してしまったことにあります。梅毒の初期症状として性器の周辺に、しこりができるのですが、これは痛みを伴わず数週間で治ってしまうため、気がつきにくいのです。第2期症状では全身に小さな赤い発疹ができ、これが起きるのは感染後約3ヶ月〜3年後のこと。その間、コンドームをつけずに性交渉を行えば、菌をうつしてしまいます。
また、医者は、梅毒の発症例が少なくなればなるほど、梅毒を実際に見て学ぶ機会はなくなります。結果、梅毒に詳しい医者が減ることになります」
「梅毒はゆっくりと進行するため、感染後すぐに死に至るわけではありません。ただし治療を受けずに10年以上が経つと、心臓や血管、骨、神経系にまで病変が及び、最終的には死に至ります。現代では、ペニシリンの普及によって症状に気づいた段階で治療を行えば死亡する可能性は極めてまれであるものの、感染拡大防止のためにも、早期発見は重要です。梅毒感染が疑われる『痛みを伴わない陰部のしこり』や『全身性の“赤い発疹”』が見られる場合は、受診しましょう」
ただコンドームをつけるだけ!セーフセックスが自分を守る
「性感染症は特別な人がかかるものではなく、性交渉経験があれは誰でもかかりうる病気です。しかし、感染に気付かないでいると、知らず知らずのうちに体内で進行し、感染を広めていることがあります。有効な予防法はコンドームです。まずはしっかりと予防を行いましょう。
そして、感染が疑われるときは早めに受診を。性感染症の中にはコンドームでは防ぎきれないものも含まれています。性感染症の検査は、婦人科を受診する以外にも、全国の保健所で受けられる場合もあります」
PROFILE:丸田佳奈
日本産科婦人科学会専門医。学生時代にダイエットが原因で生理不順に。治療のため産婦人科に通院した経験から、産婦人科医を志す。情報番組からバラエティ番組、雑誌など、様々な媒体で活躍中。著書に『間違いだらけの産活』(学研パブリッシング)、『キレイの秘訣は女性ホルモン-女医・丸田佳奈が答える47の悩み相談』(小学館)などがある。
Illustration:Masami Ushikubo Photo : Yuki Kato Text:Ayano Nakanishi
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