女性のお悩み別に“自然ぐすり”をご紹介!
前回お伝えしたとおり、女性が日常的に感じている身体の不調の多くの原因は、ホルモンバランスの乱れが原因。病院では化学療法やホルモン剤による治療も可能ですが、それによる副作用や時間の拘束、ストレスを考えると、なかなか踏み込みにくいもの。
そんなときにぜひとも試してほしいのが、“自然ぐすり”ことフィトテラピー(=植物療法)。即効性は低い代わりに副作用が起きにくく、ゆっくりと包括的に身体の調子を整えてくれるのが特徴です。続けることで、自分が持っている本来の自然治癒力を高められ、風邪予防の効果も。
また、飲む・香る・塗るなど、さまざまな取り入れ方があるのもフィトテピーの良さ。日常のあらゆる場面で手軽に取り入れられるので、自分のライフスタイルを変える必要がなく、ストレスフリーに続けることが可能です!
まずは、身体のお悩みの解消からスタート。冷え性や不眠、PMS・月経痛まで、女性ホルモンの乱れによる症状別に、有効なフィトテラピーをご紹介します!
■前回の記事はこちらをチェック!
お悩み1:冷え性
女性特有のお悩みのなかでも、最も悩んでいる人が多いのが冷え性ではないでしょうか。冷え性の原因に、運動不足による筋肉量の減少、冷たい飲み物を好むことによる新陳代謝の低下、室内と屋外の温度差による自律神経の乱れなどが挙げられ、まさに生活習慣病のひとつと言えるでしょう。
■下半身の冷えには「ヴァンルージュ」
フィトテラピーのなかでも一押しは、赤ぶどうの葉から採れる「ヴァンルージュ」です。血管を拡張して保護するのに加え、骨盤内の血流が滞る“うっ滞”を取り除いてくれるため、とくに下半身の冷えにGOOD。
エルボリステリア シングルティザンヌ ヴァンルージュ 70g ¥2,500/コスメキッチン
抗酸化作用やアンチエイジング効果のあるポリフェノールの量が赤ワインの約300倍とも言われており、同時にビューティケアも叶うのがうれしい。上の写真のようなハーブティーや、水やお湯に混ぜて飲むハーブ抽出液のタンチュメールなど、飲むタイプで取り入れるのがおすすめです。
■食事に取り入れやすい「しょうが」
日本でもなじみの深い「しょうが」。加熱、または乾燥させることで“ショウガオール”という成分が発生し、血流をスムーズにする効果がアップ! パウダー状であれば料理やお茶に入れて、難なく日常的に摂取できます。
■末端冷えには精油でマッサージを
モンサンミッシェル マジョラム 5ml ¥2,400/サンリツ
末端が冷えたら、「マジョラム」の精油を使ってマッサージを。ベースオイルや手持ちのクリームに1〜2滴垂らして揉み込むと、毛細血管が拡張して、ぽかぽかと温まります。血行促進効果のある「ローズマリー」、身体を温めるリモネン成分を含む「柚子」や「オレンジ」とブレンドしても良し。
お悩み2:PMS
PMSこと月経前症候群は、月経が始まる3〜10日前から起こる不快な症状のこと。頭痛やイライラ、不安を感じるなどの精神的な症状から、胸の張りや腹痛、腰痛などの肉体的な症状まで、その現れ方は人それぞれです。
■ホルモンバランスを整える「レディースマントル」
そんなPMSの原因と言われているのが、月経前の黄体期に分泌する「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の不足。すなわち、植物性のプロゲステロン作用を持つ「レディースマントル」で補うことで、PMSを緩和することができます。
■「メリッサ」で月経前のイライラを緩和
エルボリステリア タンチュメール メリッサ 100g ¥2,600/コスメキッチン
「レディースマントル」と同じく、女性ホルモンを正しいバランスに整えてくれる「メリッサ」もオススメ。加えて精神を安定させる効果もあるので、月経前にイライラを感じる人には特に使ってみてください。
お悩み3:月経痛
PMSのあとに訪れるのが、下腹部の鈍痛や腰のだるさに現れる月経痛。またそれら以外に、めまい、吐き気、下痢などの症状も、月経中の不調として多く挙げられます。日常生活に支障をきたすほどの苦痛を感じる場合は、何らかの病気が潜んでいる可能性もあるため、まずは病院を受診することをおすすめします!
■月経痛に効く「月見草」のオイル
エルボリステリア オイルカプセル 月見草 60カプセル入り ¥4,200/コスメキッチン
ひどい月経痛には、y-リノレン酸が豊富な「月見草」のオイルを毎日摂取して。カプセル状のものなら酸化しにくく、持ち歩きができますよ。毎月同じ悩みを抱えているならば、継続的に飲んでおくことで、痛みを予防することができます。
■精油マッサージで腹部の冷えを防ぐ
身体、特に腹部の冷えは月経痛を悪化させるので、血行促進も忘れずに。「クラリセージ」、「ラベンダー」、「ローズマリー」などの精油は、鎮痛作用もあるのがポイント。お風呂上がりや寝る前に、ベースオイルに混ぜて腹部をやさしくマッサージすると良いですよ。
ちなみに私は、月経を“からだの成績表”として考えています。普段は感じない月経痛やPMSがあるということは、からだの不調の表れ。それまでの1ヶ月間の生活を見直すきっかけにしています。
お悩み4:頭痛
肩こりや冷え、疲労、睡眠不足、偏った食生活など、頭痛の引き金となる要因はさまざま。飲みすぎた日の翌日などはさておき、原因不明の頭痛が続く場合は明らかにおかしい、と認識すべし。また、頭痛薬の飲みすぎは身体を冷やし、さらに頭痛を誘発する可能性もあるので、気をつけて。
■血行不良による頭痛には「フィーバーフユー」
頭痛にはさまざまな要因がありますが、特に冷えがひどい人は、血行の悪さが頭痛をも招いている可能性大。そんな人には、緊張状態を和らげ、血管を正常に整えてくれる「フィーバーフユー」を。別名をナツシロギクと言い、手軽に摂取できるタブレット状が便利です。
■「ペパーミント」の精油で痛みを撃退
モンサンミッシェル ペパーミント 5ml ¥1,600/サンリツ
痛みを一刻も早く対処したいときには、「ペパーミント」の精油をこめかみに塗ると効果てきめん。精油成分が肌から細毛血管、血流にのって全身を巡り、約20分後には痛みがスーッと軽くなるのを実感できるはず。薄めずに塗るのがベストですが、肌が弱い人はベースオイルとブレンドして。
■頭痛になりにくい身体作りには「メリッサ」
ゆっくりと時間をかけて改善するなら「メリッサ」のタンチュメールを。「ジャーマンカモミール」や「ゴツコラ」とブレンドするとさらに効果的で、痛みが続く間はこまめに飲みましょう。
お悩み5:眠れない・眠りが浅い
心とからだの健康と切り離せない、睡眠。からだに大きな負担をかける睡眠薬に頼る前に、まずはハーブによる安眠効果を試してみてください。寝つきが悪い、眠りが浅い、など、不眠症のタイプごとに適切なアイテムを選べば、効果もよりUPします!
■寝つきが悪い人には「バレリアン」
エルボリステリア タンチュメール バレリアン 100g ¥2,600/コスメキッチン
考えごとをしてしまったり、気持ちが高ぶったりと、なかなか寝つけない人には「バレリアン」を。張り詰めた気持ちがふわ〜っとゆるみ、落ち着かせてくれる効果があります。眠りにつきたい30分〜1時間ほど前に摂取するのがベストです。
■中途覚醒を抑える「パッションフラワー 」
寝つきはいいのに夜中に目覚めてしまう、という眠りが浅いタイプには「パッションフラワー」。古くから“天然の精神安定剤”と呼ばれてきた通り、リラックス効果絶大。眠りの質をグンと高めてくれます。
■不安で眠れないときには「セントジョーンズワート」
エルボリステリア タンチュメール セントジョーンズワート 100g ¥2,600/コスメキッチン
焦りや不安といった、精神的な問題による不眠に適しているのが「セントジョーンズワート」。ヨーロッパではうつ病の薬としても使用されているハーブで、自律神経を整え、不安を取り除く作用があります。
■精油マッサージをプラスして安眠度UP
上記とともに取り入れたいのが、精油を使ったマッサージ。「柚子」の香りには副交感神経を優位にさせる効果、そして「ベルガモット」の香りには鎮静作用が。これらの精油をベースオイルに混ぜてマッサージすれば、安眠度がより高まりますよ。
細かい症状ごとに適したものを選べて、なおかつ、取り入れ方の選択肢も豊富なフィトテラピー。その魅力が、少しでも伝わったならばうれしいです!
次回は、日本ではあまり馴染みのない「タンチュメール」にクローズアップ。毎日の食生活に取り入れられる、植物エッセンスの魅力をお伝えします!
PROFILE:南上夕佳(なんじょう・ゆか)
植物療法士、ルボア フィトテラピースクール副代表、デリケートゾーンケアブランド「アンティーム オーガニック(INTIME ORGANIQUE by lebois)」インストラクター。ホルモンバランスを崩したことをきっかけに、植物療法専門校「ルボア フィトテラピースクール」にてAMPP(フランス植物療法普及医学協会)認定資格を取得。日本における植物療法の第一人者、森田敦子に師事し、ともに啓蒙活動を行いながら、老舗百貨店やレストラン、企業で数々のセミナーやカウンセリングを行う。著書に『自然ぐすり生活』(ワニブックス)がある。
Photo : Yuki Kato Editor : Ayano Nakanishi